怡土 ゆき絵 先生

4.「親子で楽しく運動あそび」

令和5年11月20日

 家庭にある素材を使って、親子でたくさんの運動あそびをすることができます。
 今回は、少しダイナミックなあそびにつながる、タオルを使ったあそびと、新聞を使ったあそびを紹介します。ぶつからない広さの場所を探して挑戦してみてください。

○タオル線路を跳んでいこう
 フェイスタオルをいくつか細長くして並べ、子どもがリズムよくジャンプして越えられるようにします。
 両足で上手に跳べたら、片足ケンケンで挑戦してもいいですね。

○バスタオルの波にのっていこう
 バスタオルを広げた上に、横向きで足を開いて子どもが立ちます。親御さんは、子どもの様子を見ながらゆっくり引っ張っていきましょう。

○新聞紙を投げてキャッチ
 子どもと向かい合って立ち、新聞紙を両手に広げて投げて受け取ります。ボールなどとは違ってゆっくり落ちたり、ストンと落ちたりする新聞紙は、投げるのも受け取るのも工夫が必要です。
 相手に上手に届くように、新聞をよく見ながら投げ合いっこして楽しみましょう。

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 上手にできるようになってきたら、新聞紙を取るのを手だけでなく、“頭”、“背中”、“脚”などに変えてキャッチしても楽しいでしょう。

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○新聞紙マンに変身
 親御さんが新聞紙を持って、子どもはその持っている新聞紙に変身です!
 親御さんが動かす新聞をよく見て、子どもは上に伸び上がったり、転がったり、ゆらゆら揺れたりして新聞紙マンを楽しみます。

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 徐々に慣れてきたら、ダイナミックにジャンプしたり、ダイナミックに転がったりするなどの大きな動きに繋げられるといいですね。

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 また、時には子どもさんが操作する新聞紙に親御さんが変身してみるとさらに楽しさが深まります!

 乳幼児の間は、小学校以降に体験する運動、スポーツに繋がる多様な運動を体験できるように、是非親御さんも一緒に運動して楽しんでいってください!

3.「0歳児の運動あそび」

令和5年10月20日

 “子どもの運動”は、3歳以上の活発に動く年齢になってから…とお考えの方はいませんか?
0・1・2歳頃の運動経験が、その後の運動にも影響があるという事が、研究の中でも明らかになっています。
 長時間の過度な運動は必要ありませんが、0歳の初期から、親御さんと一緒に楽しく運動することができますので、是非短時間でもいいので時間を作ってみてください。
 今回は、0歳のお子さんに焦点をあてて、どの様な運動あそびができるのか見ていきましょう。

 [お子さんと遊ぶときのポイント]

  • お子さんの機嫌のいいタイミングを見計らって行いましょう
  • 楽しく一緒に運動し、たくさん話しかけながら行いましょう
  • 視線を合わせて、スキンシップをとりながら行いましょう
     

○1~3か月
あおむけで過ごしていることがほとんどですが、徐々に見えるようになり、興味のあるものを追視できるようになってきます。安全な環境を整えて、少しずつ運動していきましょう!

・おもちゃはどこだ?
 赤や青などのはっきりとした色使いのおもちゃや、振ると音の出るおもちゃを用意して、お子さんの視界に入る位置に持っていきます。
 おもちゃを左右にゆっくり動かしたり、音を鳴らしたりしながら目でおもちゃを追えるようにしましょう。

・うつぶせ
 首がすわっていないお子さんでも、うつぶせにすると首を持ち上げようとする反射があります。
 バスタオルなどを下に敷いて、うつぶせの姿勢をつくってあげ、頭を持ち上げたときに親御さんが笑顔でのぞき込んだり、おもちゃを見せたりしてあげましょう。
 首を持ち上げる中で、背中や首を支える力が付いてきますよ。
 ※柔らかすぎる場所だと力が上手く入らないので注意しましょう。また、1分程度の短時間で行いましょう。

○4~7か月
首がすわり始め、徐々に手や足に力を入れて動けるようになっていきます。興味があるものに手を伸ばす姿が見られたら、その興味をうまく使って遊んでいきましょう!

・うつぶせ 
 首がすわったお子さんは、うつぶせにするとしっかりと首を持ち上げ、左右に視線を移しながら興味のあるものを見つける事ができます。うつぶせにした状態で、手を伸ばしたら届くか、届かないかの場所にお子さんが好きなおもちゃを置いて声をかけましょう。おもちゃをつかもうとして、手を伸ばしたり、脚をばたばたさせて動こうとしたりする姿が見られるはずです。

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・電車、飛行機遊び 
 親御さんがあおむけになり、お子さんの両脇をしっかり持ってお腹の上に乗せましょう。
 「がたんごとん」と声をかけて、電車に乗ったように左右にゆらしましょう。時には前後にゆらしたり、急停車したりしても楽しいでしょう。
 腰がしっかりしてきたお子さんには、脇をしっかり持ったまま、親御さんの膝からすねの上に乗せて飛行機のようにして遊んでも喜びますよ。
 ※あまり激しく揺さぶったりしないように注意しましょう。

○8~11か月
ハイハイやつかまり立ちなど、動きが大きくなってくる時期です。この時期に、体を支える力や、バランスをとる力が付く遊びをしていきましょう!

・ハイハイボール
 ハイハイが上手にできるようになったら、小さなボールや、中にビーズなどを入れたペットボトルをゆっくり転がして、一緒にハイハイして追いかけて遊んでみてもいいでしょう。
 追いかけて遊ぶ、または掴んで遊ぶ運動を引き出すことが出来ます。
 ※誤飲の可能性があるサイズは避けましょう。

・バスタオル列車
 大きめのバスタオルを用意して、お子さんをうつぶせにして乗せます。ゆっくりとバスタオルを引っ張って、バランスをとる力を引き出しましょう。あおむけの状態や、座ってバスタオルを持った状態にしても視界が変わって楽しく遊ぶことができますよ!
 ※座って行う場合は、後ろに転倒しないように注意して引っ張りましょう。

○12か月~
安定して一人歩きができるようになってきます。視野も広がり、運動能力がぐんぐん発達する時期です。この時期に体を動かす楽しさを覚えると、運動が大好きな子になっていきますね!

・お母さんお父さん鉄棒
 お子さんと向かい合って立ち、親御さんが両手の親指を出します。その親指をお子さんがぎゅっと握り、親御さんがそのお子さんの手を上から握るようにすると、お母さんお父さん鉄棒のできあがり!
 両手を少し持ち上げて、お子さんの体が浮くようにしてみましょう。ぶらんとぶら下がるだけでも、手の力、体を支える力が付いてきますよ。
 上手にぶら下がれるようになってきたら、膝を曲げたり、親御さんのお腹を少しずつ脚で登らせてみたりしてもいいでしょう。

・でこぼこ道もへっちゃら!
 平坦な道をスムーズに歩けるようになったら、お布団で作った山道を歩いたり、クッションの上を跳んだりして遊んでみましょう。様々な形状の上を歩いたり跳んだりする中で、体を支える力、バランスをとる力が付いてきます。公園に遊びに行っても、山道やでこぼこした道を楽しく歩けるように、手をつないで一緒に歩いてみましょう!

2.「運動機能の発達にはどのような特徴がある?」

令和5年9月15日

 子育てをしているととても気になるのが“子どもの運動機能がどのように発達していくのか”、いわゆる、定型発達ではないでしょうか。
 定型発達はあくまでも年齢の目安であり、その子の持つ性格や生活環境によっても大きく異なります。
 ですので、定型発達を目標にするのではなく、その子の成長に合った運動や遊びを身近に居る大人が一緒に楽しむことを大切にしていただきたいと思います。
 一言に運動といっても、指差しや握るなどの微細な運動もあれば、歩く、走るなどの粗大な運動の発達があります。
 今回は特に発達が著しい、おおむね2歳頃までに着目し、運動の遊びに繋がっていく粗大な運動機能の特徴を中心に見ていきましょう。

[おおむね6か月未満]
・生後3か月頃までに首がすわります。お子さんが仰向けに寝た状態の時に両手を持ち、ゆっくり引き上げると首がゆらゆらせずに上肢と一緒に頭が上がってきたら“首すわり完了”の目印です。
・指ではなく、手のひらを使って物を握ります。
・足をあげて、腰をねじる動きや、興味のあるものを見て頭を動かしたりするようになります。そこから徐々に寝返りが出来るようになります。

[おおむね6か月~1歳3か月未満]
・7か月頃、腹ばいになり手のひらで床を押して上肢を持ち上げたり、興味のあるものに手を伸ばしたりするようになります。中には、少し前進するような動き(ずりばい)ができるようになる子も居るでしょう。 
・9か月頃、一人で安定して座るようになります。また座った状態で両手を自由に動かすことが出来るようになります。この頃になると全体的に活動も大きくなり、おむつ替えに手を焼く保護者の方も居るのではないでしょうか。
・10~11か月頃、四つ這いの状態ではいはいができるようになってきます。
 また、はいはいをせずに、座った状態のまま進む赤ちゃん(シャフリングベビー)も一定数居ます。はいはいをしないからと言って、焦る必要はありません。しっかりお子さんの様子を観察してみましょう。
・1歳~1歳3か月頃、円滑な二足歩行ができるようになります。歩き始めは手の届く所をつかんで歩くつたい歩きが良く見られます。手の届く所に危ないものが無いか注意して、環境を整えていきましょう。

[おおむね1歳3か月~2歳未満]
・歩いて物を運んだり、物を押して遊んだりすることができるようになります。
・直線に歩くだけでなく、方向を変えながら目標の場所に向かうことができます。
・速く・ゆっくりまたぐ、傾斜・階段の上り下り、跳ぶなど、動きを調整することができるようになってきます。お子さんのペースに合わせて、様々な動きができるように色んな場所に遊びに行ってみましょう。

[おおむね2歳]
・マットの上で転がったり、音楽やリズムに合わせて動いたりと、動きもダイナミックに体全体を使って遊ぶようになります。
・走ることが上手になり、友だちとかけっこして楽しむことができるようになります。
・両足を揃えて上手にジャンプすることもできます。

 この発達の特徴は、あくまでも目安です。この範囲で出来ていないからと言って焦る必要もありませんし、早すぎるからと言って心配することもありません。

 次回は、このような発達を踏まえて、乳児(赤ちゃん)の運動あそびについてお話ししていきましょう。

1.「なぜ運動が大切?乳幼児期に運動をする意義とは?」

令和5年8月24日

 「子どもの運動不足」ということを、皆さんどこかで耳にしたことがあるのではないでしょうか?

 ゲームやスマホなどの普及により、子どもの遊びが“体を動かす遊び”から、“体を動かさずに画面をのぞき込む遊び”へと変わってきてしまいました。
 そればかりでは無く、自然環境の減少に伴う遊び方の変化、公園の減少、公園内での遊びの制限、事故回避の為の遊具撤去等、子どもたちが思い切り体を動かす環境が極端に少なくなってしまったことも、「子どもの運動不足」の大きな要因となっているでしょう。
 この状況は、学童期以降の課題とは限らず、乳幼児のお子さんも含めた大きな社会問題になっています。

 では、乳幼児期の運動はなぜ大切なのでしょうか??
 誕生から1歳頃までに、子どもは「座る」「立つ」「歩く」等の初歩的な動作がどんどんできるようになっていきます。そして、小学校に入る頃までに、回ったりぶら下がったりする「バランスをとる動き」、走ったり跳んだりする「体を移動する動き」、転がしたり、蹴ったりする「用具を操作する動き」など、基礎的な動作が幅広くできるようになっていきます。

 このような運動、動作が身に付く時期に、より多くの運動体験をしておくことで、小学校以降に行われる専門的な運動、そして大人になってから生涯に渡る日常生活での運動、レクリエーション、スポーツなどに繋がっていくのです。
 つまり、乳幼児期に様々な運動体験をして、その中で感じた楽しさや達成感、身に付けた運動、動作が基盤となり、運動のみならず様々な活動にも意欲的に取り組める自信へ繋がっていきます。このような経験と自信は、将来の健康的な生活習慣にも広がっていくでしょう!

 次回は、まず乳児期の運動発達と運動について、一緒に考えていきましょう。