新連続講座~性のこと、メディアのこと、できる限り伝えていきたい~第4回 思春期の性について(4)

平成22年2月10日

 今回は、避妊法の話をします。避妊の方法はいくつかありますが、どれも一長一短があります。また、確実性に差があります。

 今、一番一般的に使われている避妊法は、コンドームですね。コンドームは、安価で手軽に使えるという点、また性感染症の予防効果があるという点では良い面がありますが、肝心の避妊効果は実は100%ではありません。
 使い方も問題で、正しい使い方は、性交渉の最初から最後まで使わなければなりません。よく、射精の直前に使われますが、この場合射精の前に分泌液に混じって出た精子のために妊娠することがあります。また、正しい使い方をしたつもりでも、妊娠してしまうことがあります。

 避妊の効果が確実な方法は、二つしかありません。低用量ピルと、避妊リングです。このうち、避妊リングは、お産をされたあとの方に向きますので、お産前の方には、実は低用量ピルが一番良いのです。このほかの、膣外射精(いわゆる「外出し」)その他、雑誌等で避妊効果があると書かれている方法などは、正しい避妊法ではありません。

 ピルと言うと、危険な薬と思い込んでいる方が多いのですが、ピルの副作用が言われていたのは、昔の量の多いピルしか無かった時代の話で、今のピルは「低」とついていて、ホルモンの量が最低限で、非常に安全なお薬です。
 低用量ピルは、1日1回きちんと服用すれば、避妊の確実性はほぼ100%です。また、副作用ならぬ「副効用」の面が大きく、大部分の方で、生理痛が軽くなったり、生理の量が軽くなったりします。生理は28日型で順調になります。
 ですから、中学生や高校生でも、毎月生理が重くて生活に差し支えるような方はそれだけの目的で低用量ピルを飲まれてもいいし、実際飲んでいる方もいます。
 子どもさんにピルというと、抵抗のある保護者の方もおられるでしょうが、生理があるということは、大人と同じホルモンのバランスだということで、ピルは害にはなりません。
 ですから、もし、お子さんが性交渉の機会を持っておられることが確実ならば、とりあえずピルを飲ませることは、妊娠を防ぐ大きな意味があります。

 ただ、性交渉をすると、二つのことが起こります。一つは妊娠、もう一つは性感染症です。ですから、妊娠はピルで防いで、性感染症はコンドームで防ぐ、というダブルの防御が望ましいのです。
 ピルは、飲んではいけない方が3種類あります。タバコを1日15本以上吸う人、高血圧症の方、特殊なタイプの頭痛持ちの方(前兆に光の見えるタイプの片頭痛の方)です。

 

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