令和6年5月24日
「親の一番の務めは子どもを養育すること」と、誰もが認識していると思いますが、思春期になるとそれに加えて、「子どもの自立のためにどのように支援するか」を意識しておくと良いでしょう。
子どもの自立を支援するためには、まず現実のわが子をきちんと認識できていなければなりません。親は子どもにこうあって欲しいと望みを抱くものですが、もしもそれが親の一方的な理想だとしたら子どもにとっては迷惑な話です。親がわが子に理想を求めすぎると、子どもは「私の親は真実の私を愛しているのだろうか。親が愛しているのは私ではなくて、理想の子どもではないのか」という、自己の存在をも危うくしてしまいそうな辛く切ない想いを抱いてしまいます。
「小さい時から野球好きな父親とキャッチボールをよくしたけれど、ずっとピアノを弾きたいと思っていた」という話を聞いたことがあります。親は悪気はないのですが、親の意向のみを良しとしがちですので気を付けたいところです。
子どもの趣味は?関心事は?どのような人と気が合う、合わない?将来の夢は?理想的な生き方は?何が得意で何が不得手?など、現実のわが子を認識できているでしょうか。幼い頃と変わらず全面的に愛しながらも、一方では客観的な目で見る必要があります。
また、思春期は人間関係や将来への悩みも生じてくるものですが、親の人生と子どもの人生は全く別ですから、子ども自身でそれらの悩みを負わなければならず、親は側で見守ってやることしかできません。しかしこの、見守ってやるのが一番大事で意義があり、自立の支援をしていることになるのです。
思春期の子どもは、まだまだ親の翼の中に身を置いています。頑張ったり、傷ついたりしても、親という翼の中で身を休め安堵を得、次にまた羽ばたくエネルギーを得るのです。それを繰り返すことで、いずれは社会に飛び立っていきます。
子どもが成長するにつれ、親自身も様々な問題に直面するかもしれませんが、それらを頑張って抱え込み過ぎないようにしましょう。誰かに相談するなど他人の助けを借りることは、思春期の子どもへの良いお手本となります。「困った時は援助を求めてもいいんだよ」というメッセージになり、それも自立への支援なのです。