令和4年6月23日
暑い日が続き、だんだんと夏が近づいてまいりますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
今回は予防の観点からお話しします。内閣府(2022)の調査によると、現在、中学生の74%はスマートフォンを持っているとされています。スマートフォンやオンラインゲームを一切使わないことは困難であり、弊所でも使用によるリスクを軽減することが最大の目標になっています。
近年のオンラインゲームはプレーヤーを熱中・興奮させる仕組みがとても緻密に組み込まれています。また、かつてと比べてプレイする画面の鮮明さや動画の処理速度も上がっているため、脳は過度に覚醒し、没入感を得やすくなります。デバイスへの没入感を減らすための工夫として、①PCをリビングや外が見える場所に設置する、②目に入る位置に時計を置く、③ノイズキャンセリングのイヤホンを使用しないこと等が挙げられます。これらをすることで、PCの情報だけに集中することを防ぐことが出来ます。また、睡眠への影響を減らすために寝室にスマホやタブレットを持ち込まないというルールを家族皆で実行する、朝の時間帯にゲームをすると決めて、ダラダラ使用するのを防ぐという方法もあります。この他に、端末を使用する際は、画面の対角線の長さの2.5~3.5倍の距離を取る(ヴィクトリア,2022)、スマートフォン(6インチ)であれば、A4サイズの長さ程度(30㎝)離して見ることを心がけると良いでしょう。
ゲームやSNSへの依存を予防するためには、端末に制限をかけることも有効です。例えば、親が子どものスマートフォン等を管理する場合はGoogleのファミリーリンクを、子どもが自分で管理しようとする場合はiPhoneのスクリーンタイムが使用しやすいようです。前者は親が自分の端末からリモートで子どものスマートフォンの制限をかけることが出来ます。一方、iPhoneは自分で設定をするのに向いています。最初のうちは子どもが自分で時間を決めて、制限解除のパスワードを親が管理する、高校生になったら子どもに自分で管理してもらうなど、それぞれの特徴を上手に使っていくことをお勧めします。
予防で最も大切なことは、子どもが安心して自分の心を許せる場所や人を複数作ることです。人間関係や学業等で困難を抱える際は、児童相談所や医療機関など、子どもの育ちを支える相談機関につながりましょう。健康的で本人が好きな活動を増やすことで、ゲーム以外の選択肢を増やせると思われます。依存に陥る子どもの多くは助けを求めることが苦手です。大人から周囲に助けを求めることをモデルとして見せていくのも良いかもしれません。
内閣府(2022) 『令和3年度 青少年のインターネット利用環境実態調査』
ヴィクトリア・L・ダンクリー(2022) 『子どものデジタル脳完全回復プログラム 電子版』川島隆太監修,鹿田昌訳,飛鳥新社