第4回 自信をもった子どもを育てる

平成18年8月1日

 学童期の子どもは、関心や興味が仲間や社会へと急速に広がり、色々なことに好奇心を示し、新しいことを学ぼうとする意欲が旺盛になります。そして、教室での勉強だけではなく、家庭や社会の中で必要な知識や技能を身につけ、様々なことができるようになってきます。そうなると、子どもは集団の一員として、家庭の手伝いや学校や仲間同士での役割を積極的に果たそうとし、そこに強い喜びを感じるようになってきます。

 そうした手伝い体験や役割体験をとおして、子どもは「自分にもできるんだ!」という有効感を高め、自信をもつようになってきます。また、物事に対して忍耐強くまじめにがんばろうという勤勉性も育まれます。特にそれが困難を伴うことであればあるほどやり遂げたときの喜びは大きく、有能感は強いものとなります。しかし、失敗が繰り返されたり、努力の過程よりも結果のみが重視され過ぎると、逆に「自分はだめなんだ!自分にはできないんだ!」という劣等感を強めることになりかねません。そうならないためには、子どもの身近にいる人たちの対応がとても大切です。例え上手にできなくても、親や先生やあるいは友だちに温かく励ましてもらったり、努力を認めてもらったりすることができれば、その体験も肯定的に捉えることができるようになるからです。

 学童期は「自分には自分なりの力がある」という感覚をしっかり身につけることが大切だと言われています。この時期に自信を失い、劣等感の強い子になると、将来、社会にうまく適応していくことが難しくなるからです。

 今の時代は、ともすると勉強やスポーツなど特定の側面だけで子どもを評価しがちです。上述のように、学童期の子ども達は色々なことに興味・関心を持ち、学び、チャレンジしようとしています。自信をもった子どもを育てるためには、子どもを多角的にとらえて、その子なりの良さや伸びをほめたり、認めたり、励ましたりすることが、今とても大切なのです。

 学校の成績が思わしくなく、特技もない我が子をどのようにほめたらよいか分からないというおかあさんに出会うことがあります。しかし、集団の中では見えにくいその子の良さや地道な努力、その子なりの成長をしっかりと理解することは赤ちゃんのときから育てている親だからこそできることです。他の子と比較して見るのではなく、我が子なりの良さや伸びにしっかりと注目してください。そして「あなたの良さはちゃんとわかっているよ。」というメッセージを眼差しや態度で積極的に示してあげましょう。子どもは自分らしく成長していくための自信を心に刻み込むことができるはずです。

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