平成18年7月2日
幼い時は無邪気に何でも話してくれた子どもも、成長とともに全てを親に打ち明けることが少なくなってきます。その傾向は小学校高学年頃から段々強くなってきます。心配のあまりあれこれ聞きだそうとしたり、言い聞かせようとすると、かえって適当に答えたり、ますます口をつぐんでしまうこともあります。
学童期の後期は、生活の多くをまだ親に頼っていた幼児期末期や小学校低学年から、生活も心の面も「離乳」しようとする思春期とのいわば過渡期にあります。そのため中学生ほどではありませんが、親からの過度の干渉を嫌ったり、悩みや心配ごとがあっても親に素直に打ち明けるのをためらったりするようになってきます。親としては戸惑いますが、これは、子どもが自立しようとしている成長の証しで、喜ばしいことなのです。
しかし、その一方で、親に「わかってもらいたい」「認めてもらいたい」「愛してもらいたい」という気持ちが幼いときと同じように強くあることも理解しておいてください。
色々聞かれたり、非難・否定されること、あるいは一方的に指示・命令されることを嫌い、むっつりとしていたとしても、心の奥ではまだまだ親に甘えたいのです。
このような微妙な心の状態にある子どもと、うまくコミュニケーションをとるためには「聞き上手」な親であることが大切です。その一番のポイントは「子どもの話に耳を傾けること」です。これは一見簡単なことのようですが、聞き役でいることは結構難しいものです。特に相手が我が子の場合は、つい言葉を先取りしたり、「言い聞かせなければ」と意気込んだり、叱ったりしがちです。これでは、親の不安や怒りの感情を子どもにぶつけているに過ぎません。子どもは反撥し、心を閉ざしてしまうだけです。人生の先輩である親としてまずは口をはさまず、子どもの言葉に耳を傾けることを心がけたいものです。日頃からそうした態度をとっていれば、子どもは自分が話したい時、聞いてもらいたい時、ごく自然に口を開くでしょう。そして、子どもなりの不安や心配ごとがあったとしても、親が耳を傾けてやるだけで子どもの心は安定し、元気に活動するエネルギーが湧き出でて来るものです。なお、失敗したり、良くないことをした時も、終わってしまったことにいつまでもこだわったり、問いつめたりはしないようにしましょう。過去のことよりもこれからのことを一緒に考えてやることです。子どもは自分の問題を自分で乗り越える力を持っています。子どもの力を信じて見守り、時に励ましたり、誉めてやることです。「親から認めてもらっている」という思いは子どもの自信となり、自立を促す大きな力となるでしょう。