平成17年11月1日
小学校低学年(1・2年)では、良いことや悪いことの判断を自律的にすることはまだ十分できません。親や先生の言動にしたがって判断し、行動する傾向が強くあります。ですから、この時期、親や先生の言葉や態度はとても大切です。
中学年(3・4年)になると、親や先生への依存性は以前よりずっと弱くなり、前回述べたように友達との結びつきが強くなってきます。「心の離乳」が始まりつつあるのです。その結果、子どもの意識や行動は友達から色々影響を受けることになります。その一方、親に対してはちょっとのことで反発したり、口答えするようにもなってきます。小児科医で児童学の権威である平井信義氏はこの時期のことを「中間反抗期」と呼んでいます。ただ、この時期の口答えは多くの場合、子どもの自立心の表れです。ですから、いたずらに押さえつけたり、逆に受け入れたりするのではなく、聞くべきところはちゃんと聞き、だめなことは「だめ!」としっかり諭すことが大切です。
低学年(1,2年)では表から見える行動と心の中の思いはだいたい一致しており、よく見ていれば子どもが何を考えているか、どんな気持ちなのかおよそはわかります。しかし、高学年(5・6年)では心の中の世界が芽生えてきて、表面的には明るく振る舞っていても心の中では、大人と同じように別のことを考えているというようなことが起こってきます。また、自分の性格・能力・容貌について口には出さないけれど心の中で色々思い始めるのもこの頃からです。しかし、子どもの心は自分を客観的に評価するまでには育っていません。そのためその判断は正確ではなく、理由のない劣等感を抱いて子どもなりに悩んだりすることもあります。あまり極端に歪んだ思いに陥っているような場合は、適切な親のアドバイスや激励が必要です。なお、良いこと悪いことについては低学年の子のように親や先生の言動に依存してではなく、自分の「良心」に基づいて適切に判断する力がかなり育ってきます。