睡眠について

平成17年12月1日

 脳生理学者の松本淳治氏(1993)の資料によると、10~13歳の睡眠時間は10時間です。実際、京都大学文学部が1947年に行った調査では、6年生の睡眠時間が男子で10時間25分でした。これだけの睡眠をとるには9時前に寝なければなりません。それが今では、就寝時刻11時以降の子が6年生で50.5%にも達しています(北九州市立教育センター,2005)。当然、睡眠時間は短くなります。福岡県(2001)の調査では6年生で睡眠6~7時間が48.0%、4~5時間が3.5%を占めています。睡眠時間にはかなり個人差があります。しかし、それでも6年生では10時間はともかく9時間の睡眠は欲しいところです。

 このように睡眠の短い生活では、笑顔の爽やかな子を期待することはできなません。朝、自分で起きることができず、起きてもイライラし、食欲もないでしょう。いつも疲労感があり、授業中も勉強に集中できない子になってしまいます。福岡県が2003年にある小学校で実施した調査によると、「授業中、眠くなることがある」という子が「よくある」「時々ある」を合わせて6年生で何と71.2%もいました。北九州市立教育センターが2004年に小学3・4年生~中学3年生の就寝時刻を、早寝、平均、遅寝に分け、学習意欲との関係を調べています。その結果を見ると、中学3年生を除きどの学年でも一貫して早寝群が最も高い学習意欲を示し、遅寝群は最も低い学習意欲を示していました。また、就寝時間が遅く、睡眠不足では気分も悪く、学校に行くのも億劫になります。指定都市教育研究所連盟(2003)の調査によると、毎日の生活が「とても楽しい」という子が9時台に寝ている子では44.5%であるのに対して、11時台では29.2%にまで下がっています。また、福岡県(2001)の調査によると、学校に行きたくないと感じたことのある子は6年生で、82.3%いますが、その理由として圧倒的に多いのが「体の疲れや、睡眠不足」で、56.6%にも達しています。これでは、有能な先生が一生懸命授業をしても成果はあまり期待できません。

 子どもが元気に楽しく小学校での生活をおくり、しかも学習に専念できるためには、早寝早起きの習慣がとても大切です。お子さんの睡眠について今一度見直してみてください。

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