平成18年1月5日
小学生時代、教師に対する子どもの意識や態度はずっと同じというわけではありません。岸田元美氏(1958)の研究の結果に従うと、原則的には次のように変化します。
1年生の初め頃は、子どもにとって教師は、幼稚園や保育園時代の延長の感じで「先生」というより、むしろ一緒に遊んでくれる年長の遊び相手、あるいは優しく生活の世話してくれる人と見なされています。まだ学習や生活面の指導者とは見られていません。
ところが、2・3年生頃になると教師は学習や生活面の指導者として意識されるようになってきます。そして、同時に教師を慕い、強く愛着を示すようになってきます。この時期、子ども達は先生が大好きです。小学校生活を通じて2・3年生の頃が教師との関係が最も穏やかで楽しい時期と言われています。教師に対して子どもは、素直でうちとけ、心を開いてくれます。また、教師のすることに感動したり、先生から何か手伝いを頼まれたり、指示されると、それを喜び忠実に実行しようとするのもこの時期です。
4年生頃になると、教師に対する絶対視が崩れ、教師を仲間に入れたがらなくなります。以前のように甘えません。公平な扱いを求めたり、時には反抗的態度をとったりするようになってきます。2・3年の時と比べると、教師に対してあまりオープンではなく、否定的、閉鎖的な態度が強くなり、心理的な距離が増大します。こうした変化は、自我意識の発達や自主的態度の発達にともなって以前ほど学習や遊びに教師を必要としなくなってきたことや人を見る目が発達してきたことによるものと思われます。
5・6年生頃、本来なら再び穏やかな態度を教師に示すようになってきます。しかし、それは低学年の時のような依存的、開放的な態度ではありません。4年生の頃に示した独立的、閉鎖的な態度をもちながら、一方で指導者としての教師を肯定、信頼、尊敬し、従順な態度を示すというものです。ただ、現状は高学年になっても先生を先生と思わないような子も多く、教師が苦労しています。これでは子どもは伸びません。この背景には教師を信頼せず、安易に批判する最近の大人の態度があります。少し考えてみたいものです。