コミュニケーション能力について

平成18年2月1日

 これまで長年にわたって保育園・幼稚園、そして小・中学校の先生方や社会教育関係者、さらには地域の方々と心豊かな子どもたちを育むために、体験学習や教育ボランティア活用の授業の推進、教育キャンプ、地域子ども会づくりなど様々な取り組みを行ってきた。理論と実践の調和を信条としている人ときちんと話せるということは、子どもの発達にとってとても大切なことです。それは話すことによって、?社会生活がスムーズにできるようになるだけでなく、?色々な知識を得たり、?相手を深く知り、人間関係を豊かにしたり、?ストレスを解消したり、?嫌なことを拒否したり、危険な場面で助けを求めたりすることができるようになるからです。

 子どもの話す力は、本来、幼児期の終わり頃までにかなりの水準に達します。当然、小学生になったら自分の要求・考え・気持ちをきちんと文章で言うことができるはずです。ところが、今の子ども達はそれができません。お腹が痛くなった時もせいぜい「痛い!」だけで、どこがどんなふうに痛いのか、「症状」をきちんと説明できないのです。また、5年生にもなったら先生に紙を求める時も「先生、すみませんが紙を1枚ください」ぐらいは言っていいはずです。ところが、「先生、紙!」のように一語か二語ですます傾向があります。いわば「単語人間」なのです。この傾向は中学生、高校生でも同様です。

 なぜでしょうか。最も大きな原因の一つは、子どもに話す体験を十分与えない親の、過保護な関わり方にあります。例えば子どもが「ジュース!」と言っただけで親が子どもの心を察して要求にすぐ応じていては、子どもはそれ以上言う必要がなくなってしまいます。コミュニケーション能力も他の能力と同様、体験しなければ育たないのです。

では、どうしたらよいのでしょうか。それには、まず話すということの大切さを親自身がしっかり認識し、日常生活場面で子どもの話す体験を豊かにするように努めることです。具体的には次のことを心がけましょう。

 子どもが言おうとしていることを先取りしない。
 子どもからの質問、意見、感想などには積極的に耳を傾け応答するようにする。
 コミュニケーションの際の適切な音声やよい表現、あるいは豊かな表情などはしっかりほめてやる。
 子どもにメッセージ体験や説明体験など、人の前で話す機会を積極的に与えてやる。
 時には言い方を教えてやる。
 お父さんやお母さん自身、コミュニケーションに関して子どもの良いモデルとなるように心がける。

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