お手伝いをさせよう!

平成24年10月26日

 手伝いには、親が毎日している家事の意味を理解したり、自分も家族の一員なのだという意識を高めたり、将来の自立に必要な生活技能や、自主性、耐性といった心の能力を育むという意義があります。また、自分も「できるんだ!」という自信を高めることにもつながっています。何でもしてもらうだけの「お客様」では、生活技能や自主性、耐性はもちろん、親への感謝の気持ちや家族への思いやりの心も育ちません。


 しかし、最近は手伝いをしていない子が以前に比べるとかなり増えています。例えば、「国立青少年教育振興機構」(2011年)の報告によると、家の中の掃除や整頓を「あまり」「まったく」手伝ったことのない子が6年生で32.4%もいます。背景には、生活が便利になり、子どもにしてもらうことがなくなったという事情や、子どもがイヤがることはさせたくないという親の過保護な態度があります。しかし、これでは子どもは育ちません。


 状況を変えるには、まず親が手伝いの大切さをよく理解し、積極的に機会をつくってやることが必要です。掃除、洗濯物干し、食事づくり、食器洗い、回覧板を持っていくなど、何でも親が自分でしてしまうのではなく、子どもでもできそうなことはやり方をきちんと「教え」、「任せる」ことです。もちろん、自発的にするようになるまでには、親に強い意志力と忍耐力が求められます。また、生活のあり方について少し発想を変えてみることも大切です。食料品をいっぱい買い込み、冷蔵庫を満杯にしていては、お使いの機会が奪われます。時には「ない」場面をつくってみましょう。

 
 なお、手伝いをしたらお金や物を見返りとして与えている親御さんがいます。これはできるだけやめましょう。「報酬」目的の手伝いになってしまうからです。手伝いはいわば無償の「家庭内ボランティア活動」です。そこに大きな意味があるのです。与えたいのは、親からの心のこもった「ありがとうね」「助かったよ!」といったねぎらいの言葉です。

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