第2回 やりとり(コミュニケーション)の基礎は食事中につくられる

平成18年6月1日

授乳の時間はやりとり(コミュニケーション)の基礎

 赤ちゃんは、人間もサルも、鼻がつまっていない限り、おっぱいを飲むときは、苦しくなったりしないような、のどの構造になっています。ですから、サルの赤ちゃんは一気におなかいっぱいになるまで飲んで、プイッと乳首から離れます。
 でも、人間の赤ちゃんは、おっぱいを飲むとき、途中でやめますよね?そして、こちらが、「おなかいっぱいになったの?」とか「まだあるよ?」とか声をかけるとまた飲みはじめますよね。実は、人間の赤ちゃんは、お母さんが何か言ってくれるのを待っているのです。赤ちゃんがおっぱいを飲むのをやめる→お母さんが声をかける→おっぱいを飲み出すという、やりとり、つまりコミュニケーションの基礎がここにあるのです。


授乳中、食事中はテレビを消す、携帯電話から離れる

 もし、このときにテレビがついていたらどうなるでしょう。また、メールをしていたらどうなるでしょう。
 お母さんはテレビやメールの画面に気を取られていて、赤ちゃんがおっぱいを飲むのをやめたのに気づかないか、気づいてもぞんざいな反応しかしないことになりますよね?これが続くと、赤ちゃんはお母さんに気づいてもらえないので、働きかけをしなくなるのです。そうするとお母さんはさらに赤ちゃんに気を配らなくなる。これでは、「やりとりの力(コミュニケーション能力)」はつきませんよね。
 これは、幼児期以降に、食事中にテレビがついている場合にも、同じようなことがいえます。保育者が園で問題があると感じている子どもは、食事中にテレビがついていることが多いのです。これは、家庭の中では特に食事中が会話をする大切な機会だからだと考えられます。
 まずは、授乳中や食事中はテレビを消す、携帯電話から離れて、子どもさんと楽しくお話をする時間にしましょう。

< 前の記事     一覧へ     後の記事 >