~食べる・育つ~ 第3回 食卓にのぼる食べ物

 平成19年1月6日

 新年を迎えいかがお過ごしですか?
 我が家では、暮れに家族がそろい、にぎやかなお正月でした。とはいえ2人は4日から学校です。短い休みですが、食卓を囲みながら、きょうだい3人が、互いの近況報告や情報交換をする様子は、こころ楽しい事です。

 さて、保育園では12月に年長組が、豚汁をつくりました。
皆で種をまき、育て収穫した細いりっぱな大根と、芽が出たので植えた里芋と、往復12?歩いて掘って来たさつま芋を、藁を使って洗いました。皮をむき、刻むときの目が真剣です。
 園庭では、U字溝(側溝に使うやつです)に炭をおこし、網の上では秋刀魚がモクモクと煙を上げています。もちろん消防署には「秋刀魚を焼きますが・・・」と、連絡済みです。
 煙の中、目を細めたり、顔をしかめたりしながら、秋刀魚を返す手にも力が入ります。なにせ、尾頭付きのお魚です。普段見慣れていないせいか、しげしげと眺めています。
 「秋刀魚も海では、元気に泳いでいたんだよね。」と保育士。「うん、食べると元気になるんばい。」「そうばい、ぜ~んぶ食べる。おいしいもんね。」と子どもたち。
 「骨がついてるから、気をつけるとよ。」「は~い。」「骨は、どっちが長いやろか。」とおいしそうなにおいをかぎながら、秋刀魚のまわりでのやりとりも楽しいひとときです。
 「これも焼いてください。」と、秋刀魚の骨がやってきました。骨せんべいにしろということらしいです。炭火で、カリッと焼き上げると、ぽりぽり食べてしまいました。
 お魚さん、あなたの命を丸ごといただきます!

 『そういえば、3歳児から骨付きのお魚を給食に出し始めたころは、骨がのどに刺さって、ご飯の丸呑みなどを試しても取れずに、医者に走った事もあったなあ。最近は、2歳から骨付き。みな上手に食べてるよなあ。』と、ひとり感心してしまいました。
 数年前、給食に魚のメニューがあると、「今日の魚には、骨がありました。気をつけてください。」と、保育士からの苦情に、調理員は『あんなに気をつけて骨を取り除いたのに・・・』と、がっかり。その当時、尾頭付きの魚なんて「とんでもない!」ことだったのです。
 でも、今は大丈夫。骨付きでも上手に食べられます。
 「魚には、骨がある。だから、気をつけて食べる。」・・・これは当たり前のことです。でも、その当たり前のことが、いつの間にか、当たり前でなくなり、同じように、子どもたちの前からたくさんの「当たり前」がなくなっているようです。
 便利さを、上手に利用しながらも、何が当たり前なのかを知らせることは、大人の責任ではないでしょうか?
 経験を通して、子どもたちは、できるようになるのに。知る事が出来るのに。感じる事ができるのに。そして、経験知として蓄える事ができるのに、もったいない。

『子どもが自分で出来るようになると、親も楽よ~。』・・・と、これは私の心の声でした。

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