家の手伝いと親の姿勢

平成29年10月6日

 自立の原点が“生活力の習得にある“ことは前回延べましたが、子どもたちと合宿をしてきて30年前と比べてほとんど変わっていない気になる点があります。

 合宿は寝食を共にすることから、ベッドの整理・整頓、掃除・洗濯、食事の準備・片付けなど、生活に関するすべてのことは自分で処理しなければなりません。しかし、ふとんや毛布がたためない、洗濯ができない、ホウキが使えない、ご飯が炊けない、包丁を使ったことがない、といった子どもが多いのです。なかには、料理した魚がかわいそう、目玉の付いている魚に対して気持ち悪いと言って食べない子が2割近くいるから驚きです。
 
 私たちは生活の中から多くのことを学びます。頭で覚えた知識と体で覚えた技能の両方が理解できて初めて使えることにつながります。しかし、生活体験の乏しい子どもは、実際に使う場面を経験していないからできないのです。少なくとも小学校に入るまでには、家の手伝いを通して最低限の生活力はしっかりと身につけさせる必要があります。
 
 平成22年に行った調査(※)から「親の姿勢と、子どもたちの家の手伝い」(表1)を見てみると、「おはようなどのあいさつ」を“させている親”80%に対し、“している子”73%が最も高く、以下、「食事の準備や片付け」を“させている親”42%と“している子”48%、「朝、自分一人で起きる」“させている親”44%と“起きている子”40%と続きます。その他の全ての項目においても親と子の数値がほぼ連動するのです。親が家の手伝いをさせていないから子どもはできていない傾向が見られるので、合宿での経験が自信喪失につながったり外出嫌いになったりしないことを切に願いたいものです。
 
【表1】親の姿勢と、子どもたちの家の手伝い
表1.JPG
※)「子どもを取り巻く教育環境等に関する調査」
柏市教育委員会生涯学習課(平成22年 6・7月)
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