平成20年6月4日
3歳を過ぎる頃から、子どもたちは腕自慢的なあそびに挑戦しだします。たとえば、少し高い場所、階段や押入れなどに上っては飛び降りる、上っては飛び降りることをやたら繰り返す姿がみられます。大人の力を借りながら高い場所に立つだけで満足していた時期とどのような違いがあるのでしょうか。もちろん、最初の頃は足のクッションがうまく使えず、ドスンと落ちる感じがします。しかし、何回も繰り返すうちに着地時の衝撃を腰、膝、足首で和らげる「降下緩衝能」が高まっていきます。こうした全身のバランスをとる能力を獲得していく準備が整ってきたのが3歳児の段階ということになります。また、「からだ」の育ちにくわえ、「こころ」の育ちも見逃せません。飛び降りあそびを繰り返す3歳児の決まり文句は、「見てて!見てて!」。両手を挙げて、高く、遠くに飛び降りようとする様子は、あたかも、ウサギさんやカエルさん、○○レンジャーや○○ライダーになりきっているかのようです。そして、大好きなお母さん、お父さん、そして先生の「すごいね!」「上手だね!」といった言葉かけを受けながらあそびを楽しむことが、自我が芽生えてくる3歳児にとっては大切な体験となっています。
掛け声と動作が同時にできるようになったことが楽しくて「勝ったと思い込んで」じゃんけんあそびを繰り返すことと同様に、何らかの能力が伸びる時期にはそれをやりたがるという特徴がみられます。こうした時期に、安全に配慮した上で、子どもたちが満足するまでつき合っていくことが「からだ」や「こころ」の育ちを確かなものとしていくためには必要です。「危ないからダメ!」「ちょっと待ってね。」「また後でね。」という何気ない言葉が、子どもたちの育ちの芽を摘んでいるということを自戒したいものです。親として、保育者として、地域のおじさんとして・・・。鐘ケ江 淳一