平成28年12月21日
おもちゃは、子どもにとって一番身近なもの。
いつも近くにあり、色々なことを伝え教え、想像力を育んでくれるものです。
教育という観点から、いったいおもちゃには何が求められているのでしょうか?
例えば私どもの扱う「音の出ない木の電話機」。プッシュボタンを押しても音も声も出ません。大人たちは音の出ない木の電話機を見て‘これじゃつまらなそう’とよく言いますが、本当はその逆です。
音の出る電話では、ボタンを押すと呼び出し音やキャラクターの声、音楽が流れたりするので、子どもはもともと内蔵されている音を聞いて音が出ることを楽しんだり、プッシュボタンをあれこれ押したりして、何かが起こることを待つ遊びをします。
反対に、音の出ない電話機では「あのね、このあいだおじいちゃんがね、このあいだね・・・」と、能動的に自由にストーリーを組み立てて話をする姿がよく見られたり、プッシュボタンを押すこと自体に遊びを見出し、架空の番号を当てはめてみたり、大きくなると自分の家の番号を押してみたりして遊びます。
後者の電話のおもちゃの方が、想像の世界が広く、自由度が高く、学びが多いことが想像いただけますでしょうか?
また、坂道を木の車がくねくね下がってゆくおもちゃがありますが、子ども達はくり返しくり返し楽しみます。なぜこんなに同じ遊びに夢中になれるのか?その姿が大人には不思議に映ることもありますが、その中から多くのことを学び感じている瞬間です。同時に「追視」という身体機能のトレーニングにもつながっていることもありますので、ますますおもちゃの選び方が大切だということを痛感します。
おもちゃに求められるもの。それは、心身を健全に育む役割を担えることです。
親も多忙な現代社会だからこそ、子どもの心を豊かに育むことができる「おもちゃ選び」の重要性が増しているように感じます。