福岡少年サポートセンター

~少年非行~第6回「目を離さず・心を離さず」(足立香奈子さん)

平成19年10月3日

 こんにちは。第6回目の講座を担当します福岡県警察本部少年課〈福岡少年サポートセンター〉少年育成指導官の足立香奈子です。

 第1回目の講座から、これまで5回にわたって、少年非行と家族関係をテーマにお話をしてきました。そのなかで、生活の乱れや規範意識の低下などから始まる喫煙・深夜徘徊といった「非行のサイン」について、また、薬物乱用や携帯電話にひそむ危険性について、説明いたしました。
そして、これらのことは、実はどの子にも起こりうる問題であり、それを防いでいくには、家庭の中に「我が家のルールを作り、互いに守っていく」、「サインに気づいた時にすぐに声をかける」といった小さな積み重ねを日頃から大切にする必要があるとお伝えしてきました。

 さて、福岡少年サポートセンターの相談電話「ハートケアふくおか」では時折、思春期の入り口に立った小学校高学年の子ども達から「友達とうまくいかない」「学校に行きたくない」など私達が本来担当とする非行相談とはやや異なる内容の相談を受けることがあります。しかし、私達がしっかりと耳を傾けて話を聴いていくうちに、安心感を感じホッとした様子が電話越しに窺えることがあります。

 一見なんの問題もないような子どもたちにも、悩みを抱える時があるのです。

 おとなから見れば小さな悩みと思われることも、子どもにとっては大問題という場合も多いようです。ですから、その悩みを相談した際に、軽く扱われたり、冷やかされたりすると、おとなに対して不信感を抱いたり、さらには問題行動となって表れる場合もあります。
 目を離さず、心を離さず、つまづいた時によりそってくれる存在は、思春期の子どもたちに「自分はかけがえのない、大切な存在なんだ」ということを気づかせてくれます。そのことが、「非行の抑止」につながり、また、おとなへと成長していく上での大きな力にもなっていくのです。

 私達、少年育成指導官も、非行に傾きかけた少年達の心に寄り添い、導きながら、その成長を見守り続けたいと思います。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

~少年非行~第5回「携帯電話にひそむ危険」(西村仁美さん)

平成19年9月7日

 子育てパーク第5回目を担当します、福岡県警察少年課<福岡少年サポートセンター>少年育成指導官の西村仁美です。

 さて今回は、「携帯電話」をテーマにお話したいと思います。
 携帯電話は様々な機能を備え、非常に便利であることから、おとなはもちろん、子ども達の間にも広く行き渡っている現状であり、高校生の9割以上、中学生の約6割、小学生も約3割が携帯電話を使っているとの調査結果もあるようです。
 正しく使えば、生活に大きなプラスとなる携帯電話も、誤った使い方により犯罪に巻き込まれるケースも多発しており、私達、少年育成指導官も少年相談の現場でこの問題に数多く直面しています。

 「携帯電話は通話機能しか使わない」というおとなが多いのと対照的に、メールの送受信や様々なサイトへのリンク・書き込みなど、インターネット機能を駆使する子ども達は非常に多いようですが、様々なトラブルは、このインターネット機能の利用時に発生しています。
 性交等の相手となるよう誘う「出会い系サイト」、特定の個人を中傷する書き込みを行うなど、いじめの新たな発生場所でもある「学校裏サイト」、わいせつ・薬物・暴力・自殺等を掲載した「有害サイト」等、皆さんも耳にしたことはあると思いますが、我が家の子ども達には関係ない遠い世界の話と思ってはいませんか。

 多くの子ども達が、好奇心からこれらサイトにアクセスしているという調査結果もありますし、いつ自分の子どもが、トラブルに巻き込まれるかわかりません。これらの問題から子ども達を守るには、携帯電話の問題以前に、保護者の皆さんが日頃から関心を持って子ども達と接すること、また、家庭内のルールを決め互いに守っていくことが重要です。
 そして、「家族間の十分なコミュニケーション」という基礎のうえに、携帯電話を持たせるにあたり、
 ・ 使用目的をはっきりさせる
 ・ 時間や料金など、一定のルールを決めて守らせる 
 ・ インターネットの危険性について教え、トラブル発生時にはすぐに保護者に知らせるよう説明する。
 ・ 「フィルタリングサービス」を申し込む

などのポイントをクリアすることが大切です。

 特に「フィルタリングサービス」は、出会い系サイトをはじめとする有害なサイトへのアクセスを制限する有効な手段であり、携帯電話各社が無料で提供していますが、本人や親からの申し込みが必要となります。
 契約時はもちろん、現在使用中でも申し込めますから、ぜひ申し込んで、有害情報や犯罪から子ども達をしっかり守りましょう。

 

 

~少年非行~第4回「こどもたちにも忍び寄る薬物」(金田律子さん)

平成19年8月3日

 子育てパーク第4回目を担当します、福岡県警察少年課(福岡少年サポートセンター)少年育成指導官の金田律子です。

 梅雨明けとともに、こどもたち待望の夏休みに入りました。少年サポートセンターでは、この長期の休み前に小学校高学年から中学、高校生を対象とした「薬物乱用防止教室」を実施し、多くの学校を訪問させていただきました。この講座の第1回目でも触れましたが、福岡県は平成18年中におけるシンナー乱用少年の検挙補導人員が全国ワースト1位(7年連続)であり、覚せい剤についても全国ワースト2位でした。薬物は思いの外こどもたちの身近なところまで忍び寄って来ており、遠い世界の出来事ではないことを保護者や地域の方々にも知っておいていただきたいと思います。

 シンナーは、その気体の吸引等で体内に入ると酩酊状態(酔っぱらいのようになる)を引き起こし、大量吸引すると死亡する場合もあります。強い依存性があり、繰り返し乱用するうちに「脳の萎縮」が起き、取り返しのつかない健康被害を残します。覚せい剤も同様に依存性が強く、中枢神経が興奮し、幻覚や妄想が起きるようになります。薬物は人の正しい判断能力を奪い、重大な事故や犯罪を起こしたり、薬物欲しさに恐喝や窃盗などの事件を起こすこともあります。

 薬物乱用のきっかけは、友達や先輩など「知った人から」誘われて始めたものが多く、「やせるよ」「疲れがとれるよ」「一度だけなら大丈夫」など巧みな言葉に戸惑うこどもたちもいます。こどもたちが薬物についての正しい知識を持ち、少しでも危険を感じたら「逃げる」「きっぱりと断る」ことができるようにしておきたいものです。また、薬物をすすめられるなど困ったときには、すぐにおうちの方や学校の先生、警察などに相談するようにしましょう。

 すべてのお子さんが、事件事故に遭うことなく、元気に新学期を迎えてほしいと思います。
 

~少年非行~第3回「楽しい夏休みをすごすために」(坂田 翠さん)

平成19年7月1日

 子育てパーク第3回目を担当します、福岡県警察少年課〈福岡少年サポートセンター〉少年育成指導官の坂田翠です。

 梅雨に入りスッキリしない天気が続いていますが、子ども達は「夏休み」が来るのを首を長くして待ちわびる今日この頃だと思います。今回は、この「夏休み」をテーマにお話したいと思います。

 夏休みといえば、長期の休みを利用し貴重な経験を増やすことが出来る一方で、解放感から生活態度の乱れが始まり、色々な非行に走ったり、犯罪被害に巻き込まれたりという危険が待ち受けています。

 夏休みには、日頃の生活パターンが変わることから
○ 夜更かしを続け昼夜逆転の生活になる
○ 夜遊びに夢中になり深夜徘徊や無断外出をする
○ 興味本位でタバコを吸ったりお酒を飲んだりする
など、規範意識を低下させてしまう誘惑が子ども達の周りに溢れています。また、一度崩れてしまった生活リズムや真面目に頑張ろうとする意欲は、すぐに元に戻すことは難しく、夏休みが終わってからもそのままの生活が続いてしまい、ついには退学、不登校に至るケースも見受けられます。

 そうならないためのワンポイント!
○ 保護者の方は夏休みだけに気を取られることなく常日頃から、子どもと保護者との間で、帰宅時間や家の手伝いなど「我が家のルール」を話し合って決め、お互いにそれを守っていく、そして守れなかったときに保護者が必ずその時に適切な指導を行うことが大切です。
○ 日頃の積み重ねに加え、夏休みには普段以上の目配り心配りを忘れずに、子どもの異変(サイン)を早期にキャッチしたら、まず子どもの気持ちを聞きながらも、保護者が一貫性のある助言を子どもに与えることが、子どもが羽目を外しすぎないための「ブレーキ」になるのです。「叱るだけでは逆効果」ですよ。

 子ども達が、充実した思い出深い夏休みを過ごせるよう、私達も願っています。

~少年非行~第2回「見逃していませんか?子どもの『非行のサイン』(安田幸代さん)

平成19年6月1日

 こんにちは。第2回目の講座を担当します福岡県警察本部少年課<福岡少年サポートセンター>少年育成指導官の安田幸代です。

 今回は、子どもの「非行のサイン」について、考えてみたいと思います。

 平成18年中に福岡県内で、深夜(23:00~4:00)徘徊・喫煙・怠学(学校をさぼる)・不良交友等のいわゆる「不良行為」で警察に補導された子どもは87,510人で、前年に比べると12,271人多くなっています。

 また、補導された子どもの行為種別を見てみると、深夜徘徊が約5割、喫煙が約4割を占めています。

 最近では、非行歴がない、つまり過去に刑法犯で検挙補導されたことのない子どもが、突然凶悪事件を起こす「いきなり非行型」が増加しています。これらの子どもを調べてみますと、ほとんどが過去に「不良行為」を行っていたことがわかりました。

 つまり、「不良行為」は子どもからの「非行のサイン」であり、そのまま放置すると、本格的な非行へエスカレートするおそれがあるのです。

 「たかが喫煙」と見て見ぬふりをしていませんか?「深夜出歩いていても大丈夫だろう」と放ってはいませんか?

 家庭でも、地域でも「タバコはダメ」「危ないから早く帰らなきゃいけないよ」と必ず声をかけてあげましょう。

 子ども達が多数たむろしているなど、声をかけるのをためらってしまう場合には、警察署や交番に連絡することも一つの方法です。

 最後に、家庭内で小さいときから「してはいけないこと」「我慢すること」等の基本的なしつけはなされていますか?子どもの人格形成の基礎は家庭にあります。

 将来、子ども達が自分の足でしっかり歩んでいくためにも、「ルールを守る心」を育てていくことはとても大切です。

 子どもの行動に目を向け、何か気づいた時はすぐに話し合うなどして、子どものサインを見落とさないようにしてください。

 子どもさんの非行・不良行為等で、気になることがあれば、気軽に少年サポートセンターの相談電話「ハートケア」にご相談くださいね。

《福岡県警察 少年サポートセンター相談電話》
○福岡少年サポートセンター 092-841-7830(ハートケアふくおか)
○北九州少年サポートセンター 093-881-7830(ハートケア北九州)
○久留米少年サポートセンター 0942-30-7867(ハートケアくるめ)
○飯塚少年サポートセンター 0948-21-3751(ハートケアいいづか)

~少年非行~第1回「少年サポートセンター」をご存知ですか?(足立香奈子さん)

平成19年5月2日

 こんにちは。今回の講座を担当する福岡県警察本部少年課〈福岡少年サポートセンター〉の少年育成指導官です。

 〈少年サポートセンター〉は福岡・北九州・久留米・飯塚の県内4ヵ所に設置されており、思春期の問題行動に関する専門知識・技能を持った少年育成指導官が中心となって、少年相談、立ち直り支援、街頭補導、広報啓発活動を通じ、非行の防止及び非行に走りかけた少年や被害にあった少年とその保護者に対する支援を行っています。

 ところで、福岡県の少年非行情勢は、平成18年中における刑法犯少年(窃盗など刑法に触れる行為を行った少年)の検挙補導人員が8,778人で、東京、大阪、神奈川に次ぎ全国4位、非行者率(少年人口1,000人に占める刑法犯少年の割合)では16.7人で4年連続全国ワースト1位、さらに、シンナー乱用少年の検挙補導人員は256人で7年連続全国ワースト1位と、深刻さを増しています。
非行防止対策は、今後より一層、家庭・学校・地域等がそれぞれ力を発揮し、取り組まなくてはならない問題です。

 ここで、少年サポートセンターからの一言。
  親子の信頼関係、築けてますか?
  思いやりや我慢する力、育ててますか?
  深夜徘徊・喫煙・怠学・不良交友…非行のサインに気づいたけど、どうしたらいいかと迷っていませんか?
  家出・性非行・薬物・携帯サイト…大切なお子さんが犯罪に巻き込まれていませんか?

 これから6回にわたって、子どもたちを非行へ走らせないため、親子の関係・子どもへの関わり方をテーマに、皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。福岡少年サポートセンターの少年育成指導官5名がリレー方式でつづります。
 なお、子どもさんの非行などに関して気になることがあれば、どうぞお気軽に下記の相談電話にご相談下さい。

《福岡県警察 少年サポートセンター相談電話》
○福岡少年サポートセンター 092-841-7830(ハートケアふくおか)
○北九州少年サポートセンター 093-881-7830(ハートケア北九州)
○久留米少年サポートセンター 0942-30-7867(ハートケアくるめ)
○飯塚少年サポートセンター 0948-21-3751(ハートケアいいづか)