竹下 幸喜 先生

親の姿が最高のメッセージ

平成30年3月27日

みなさん、お子さんをほめていますか?
ほめる教育研究所 ほめる達人 竹下幸喜です。

毎年、1月2日、3日で開催される箱根駅伝、楽しみですよね。
地元出身の選手が走ると、チーム関係なく応援したくなりますね。
熱烈なファンは現地で、生で走る姿を応援したい!と思うことでしょう。
ご家族ならなおさらだと思います。
これは箱根駅伝に限ったことではありません。

例えば中学生ならば、夏に開催される県総合体育大会。
部活動をしている中学生にとっては、一番大きな目標とする大会の一つです。

この大会、大分県では、平日開催です。
なので、保護者の応援も、仕事を休んでの応援となります。
お父さん、お母さんだけではなく、おじいちゃん、おばあちゃんも
子どもや孫の晴れ姿を見るために、各会場に応援に来る大規模な大会です。

私も30数年前、この大会に陸上競技の選手として出場しました。
競技場のスタンドにシートを敷いて家族総出で応援するご家庭、
あるいは子どもには内緒でこっそりとスタンドの陰から応援するご家庭など
いろいろでした。

ですが、
この大会に私の両親は、一度も応援に来たことはありません。
というのも私の実家は豆腐屋で、商売をしていたため、
両親が仕事を休んで応援に来るということは一度もありませんでした。

「仕事を休むと、お客さんに迷惑がかかる。」

これが父の口癖でした。

県大会が終わって、夕方、私が陸上競技場から家に帰ってきた時、
父と母は汗びっしょりになって、明日の豆腐作りの準備をしていました。

私に気づいた母が
「大会どうだった?」 と聞いてきました。

私が、
「うん、勝ったよ!全国大会と九州大会に行くよ!」 と伝えると、
「よかったねー。」 と母が笑顔で喜んでくれました。

その母の横で父は、ニコニコ笑顔でうなずきながら聞いていました。
私はそれで十分でした。

その家、その家庭の応援の仕方があります。
支え方があります。
声のかけ方があります。
他の家と同じことをする必要はないのです。

父と母は、私を応援に来てはくれなかったけれど、
私は、父と母から十分に愛されている実感がありました。

汗びっしょりになって豆腐を作り、働いている父と母の姿がとっても好きでした。
お客さんのために一生懸命働く父と母を誇らしく思っていました。
だから、二人の笑顔を見るだけで十分でした。

子どもは一生懸命生きている親の姿を見ています。
子どもは、その姿にエネルギーをもらい、学ぶのです。

「ほめる」「叱る」も大事ですが、

お父さん、お母さんが一生懸命生きている姿が
子ども達にとって最高のメッセージとなるのです。


 

「ほめる」ことは「叱らない」ことではない!

平成30年2月28日(水)

みなさん、お子さんをほめていますか?
ほめる教育研究所 ほめる達人 竹下幸喜です。 

私はよく
「ほめる達人の竹下さんは、叱らないんでしょ?」 
と言われることがあります。

私は一度たりとも、「私は、叱りません」と言ったことはありませんし、
ましてや周りの人に「叱ってはだめですよ」と言ったこともありません。

「ほめる人」というと「叱らない人」と思われがちですが、そうではありません。

大切なことをおさらいしましょう。
ほめる達人が伝える「ほめる」とは

「自分の周りの、人やモノ・起きる出来事の価値を発見して伝える。」

ということ。「価値発見の達人」が「ほめる達人」なのです!
ですから

「叱ることによって相手の価値を発見し、認めることもできる」

のです。

「今日の結果、私は納得してないよ!今日のためにこれだけ準備してきたでしょ?
 こんなに努力してきたでしょ?それをこの結果で満足してるの?あなたらしくないよ」

というような言葉は、叱っているようでありながら相手の将来の可能性を伝えています。

ここで大切なのは、その言葉の裏側に

「すべての人の成長と可能性を信じる。」

という気持ちがあるかどうかです。
その気持ちを持った叱り言葉は、相手の心に響きます。


「愛すること」の反対は何でしょうか?  答えは「憎しみ」・・・ではありません。
「愛すること」の反対は「無関心」です。
これはマザーテレサの有名な言葉です。

「なぜわかってくれないんだろう。」
「何回言ったらわかってくれるんだろう。」
「いつになったらこの子は成長するんだろう。」

というような「腹が立つ」感情があるということは、
相手にきちんと向き合っているという証拠です。
一番冷たいのは関心を持たないこと、これが一番冷たいことなのです。

では、どのような言葉で相手に伝えていけばいいのか?
というように「伝え方」に焦点を当てて考えていくことが大切です。

私は、ある時から、叱る時に「怒鳴る」ということを手放しました。
怒鳴らなくても、こちらの「感情」を伝えることはできます。
しっかり相手の目を見て、自分が伝えたい内容を冷静に伝える方が、
相手の心に響きます。
ぜひ、目の前の人の「成長と可能性を信じる」という叱り方をしてみてください。
 

人はただほめられたいわけではない・・・

平成30年1月26日

みなさん、お子さんをほめていますか?
ほめる教育研究所 ほめる達人 竹下幸喜です。

前回の子育てWEBでは、「事実を伝える」ということをお伝えしましたが、今回はそれを更に深める方法をお伝えしたいと思います。
どういう方法かといえば、事実を伝えた後に、

「その事実が誰のどんな役に立っているか」

を伝えていただきたいと思います。

「人はただほめられたいわけではありません。
自分が誰かの役に立っていることを知りたい。誰かから感謝されたい。」

そういう思いが強いものです。

私の娘の話をします。
私の娘は小学校、中学校、高校と9年間、陸上競技をやってきました。
暑い日も、寒い日も、手を抜かないで毎日練習を頑張ってやってきたのです。
そして高校3年の陸上生活最後の高校総体、彼女は200mに出場しました。
彼女の目標は6位以内に入って北九州大会に出場することでした。
ところが結果は8位。決勝で最下位。目標を達成できませんでした。
その時、彼女は、泣いて、泣いて、自分を責めて、責めて・・・
あんなに練習したのに・・・。あんなにがんばったのに・・・。
出場した意味がなかった。自分はだめだ。学校にも行きたくない。
と自分を責めまくりました。

その彼女に、妻が
「そんなことないよ、ダメじゃないよ。決勝残ったこともすごいことだよ。」
と声をかけましたが、彼女は全然聞き入れませんでした。
翌日、彼女は渋々学校には行きましたが、表情は暗いままでした。

その日の夕方に1通のハガキが届きました。
それは、おばあちゃんからのハガキ。義母さんからのハガキでした。
そのハガキにはこう書かれていました。
「Nちゃん、昨日の試合は本当に感動しました。
Nちゃんが暑い中、頑張っている姿を見て涙が出たよ。
おばあちゃんは元気をもらいました。
おじいちゃんが1年前に亡くなって、私は早くおじいちゃんの所に行きたいと思っていた。
だけど、Nちゃんが一生懸命に走る姿を見て、
これじゃいけない、私もこの命、一生懸命に生きよう。
Nちゃんのウェディング姿を見るまで一生懸命に生きよう。
と生きる元気が出たよ。ありがとね。」
というものでした。

そのハガキを学校から帰って来た娘が読んで、こう言いました。

「・・・走ってよかった。頑張ってよかった。」

「人はただほめられたいわけではない。
自分が誰かの役に立っているということを知りたい。誰かから感謝されたい。」

この話には続きがあって、その1週間後、
妻が、その時のお礼を言うために、実家のお義母さんを訪ねました。
「お母さん、ありがとね。
あの時、娘は本当に落ち込んで、試合に出た意味がなかった。
学校にも行きたくない。と悲しんでいたんだよ。
だけど、お母さんのハガキを読んで、『走ってよかった』って笑顔になって、
今は元気に学校に行っているよ。ありがとね。」
と伝えたら、今度はおばあちゃんが号泣です。
「私は84歳、誰の役にも立ってないと思っていた。
本当に孫の走りに感動した。ハガキを書かずには居られなかった。
私が書いたそのハガキで、落ち込んでいた孫が元気になってくれた。
笑顔になってくれた。私もまだ誰かの役に立てるんだね。」
と号泣したそうです。

「人はただほめられたいわけではない。
自分が誰かの役に立っているということを知りたい。誰かから感謝されたい。」

「○○してくれてありがとう!○○さんのおかげで本当に助かったよ。」

その事実が誰のどんな役に立っているかを、心を込めて伝えてくださいね。
その言葉は必ず、相手の心にしみ込んでいきます。

 

ほめる達人が伝える「ほめる」とは・・・

平成29年12月26日

 みなさん、お子さんをほめていますか?
 ほめる教育研究所 ほめる達人 竹下幸喜です。
 皆さんの「ほめる」のイメージはどんなイメージですか?
 「おだてる」「おべんちゃらをいう」「甘やかせる」「ほめられて育った人間は弱い」など、ポジティブというよりも、どちらかというとマイナス、ネガティブな印象をお持ちの方が多いかもしれませんね。しかし、ほめる達人のいう「ほめる」とはそういうことではありません。ほめる達人の「ほめる」は、「その人の価値を発見する!」、そしてそれをしっかりと「伝える」ということです。「ほめる」は扱いを間違えると相手を傷つけたり、嫌味に聞こえたりすることがあります。しっかりと「ほめる」を取り扱うことが大事なのです。ではどういう風に取り扱えばいいのか??? それは、

「ほめる」をコントロールに使わない!

ということです。
子どもをコントロールしようとして使う「ほめ言葉」が、子どもに透けて見えてしまうと、その言葉が相手に伝わらないばかりか、次にいくらほめてもその言葉は子どもの心に響かなくなります。ですからまずは、「『ほめ言葉』をコントロールに使わない!」と決めることです。ではどういう風に「ほめる」を使えばいいのかというとそのポイントは、

「事実を伝える」

ということです。
事実があるのが「ほめる」、事実がないのが「おべんちゃら」です。思春期の子どもたちは、特にこの「おべんちゃら」を言われるのを嫌います。ですから、私たちがしっかりと事実を見極める観察力を身につける必要があります。子どもの変化に気づくということが大事なのです。私が一番おすすめする言葉掛けは、例えば、みなさんが満天の星空を見たときに「うわ〜〜綺麗な星空だな〜」とつい出てしまったこの言葉、実はこの言葉が最高のほめ言葉なのです。なぜなら、この言葉は、星にもっと輝いて欲しい!と思って言った言葉ではないですよね?つい出てしまったこの言葉、感動して出てきたこの言葉こそ、相手の心に一番響きます。「この字うまいね」「走りが良くなったね」など、つい出てしまう言葉が子どもの心に満足感や充実感を与えるのです。ここでの基本は感動することです。ですから皆さん、感動体質になりましょう!感動ママ、感動パパになって、お子さんのいいところに気づき、感動して、たくさんほめていただきたいと思います。