相戸 晴子 先生

子育てから地域の担い手へ~地域を創る一員への芽生え~

平成24年1月5日 

 前回のコラムで書いた9年間に渡る子ども会活動では、たくさんの出会いや学びの場であったとともに、運営について難しい面も多々ありました。

 まず、多分にもれず私の地域においても、子ども会会員加入率が年々減っていきました。「親が仕事を始めたので」「習い事が忙しいので」、また「子どもが中学年になり親に役員が回ってくるのを避けるためにやめさせている」という話も聞こえてきました。学年によっては、一人二人の子どもが「一抜けた!」をすると、ドドーと一気に減り始めました・・・。
 また、子ども会の活動理念である「子ども主体の活動」がなかなか実行できませんでした。歴史のある活動の慢性化のせいか?大人が段取りする活動が「あたり前化」し、子どもたち自身が、自ら企画し実行するという考え方が子どもたちに浸透していなかったのです。
 例えば、「新入生歓迎会での出し物は?進行は?どうする?」についての話し合いをしようとしても、「去年と一緒でいいやん。」「今までは、決まったことをやればよかったのに、今年は何で自分たちが計画からすると?面倒くさい。」など、子ども主体の活動を支えていくためには大人も一緒にその意義を考えていく必要がありました。
 現在、多くの子ども会が抱えている運営に関する課題でもありますよね。

 そこで、私の地域では、2つの取組がなされました!
 一つは、「子ども会全員加入のしくみづくり」です。地域の子どもすべてを会メンバーに位置付けることで、地域ぐるみの子育てするしくみとなりました。今までは、子ども会主催行事など、メンバーがメンバーでないかによって、地域の子どもが分断されるという状況も見受けられていましたが、今回の子ども会参加費の無料化によって、あらゆる子どもが地域の子ども会メンバーであり、地域の大人たちが支えるしくみとなりました。無料化して活動資金はどうするのか?ということですが、以前から自治会が子ども会活動を手厚く支援してくれていた経緯があり、その無料化についても、さらなる地域のバックアップ体制が地区総会で承認されたことから実現することができたのです。
 当時の役員さんは大変だったと思います。子ども会育成会や地域の会議の場で、何度も意義の説明や話し合いの場をもたれていました。でも、こうして一人ひとりが子どものことを考えていった結果、地域に素晴らしいしくみができました。
 
 またもう一つは、子ども会活動の運営主体は、子ども自身であることを大切にした大人の関わりです。
子ども会役員として7年以上に渡り、関わったお父さんがいました。毎年変わっていく役員体制の中で、そのお父さんが長期に渡って子どもや保護者の関わり方を身を持って示してくれたのです。
そのお父さんの影響で、保護者の子どもへの関わりがみるみるまに変わっていきました。そして、「新入生や卒業生の歓送迎会」「お祭りの出し物」「運動会の応援について」など、日常的な活動の一つ一つに、子どもに話し合いの場をもたせ、子ども自身が決定していくプロセスが大切にされていきました。
 
 そのような大人の関わりを継続させて行くことにより、大人が段取りし過ぎず、子どもたち主体の活動が定着し始め、6年生から5年生になどリーダーとしての役割を引きついでいく流れや高学年が低学年、幼児へのお世話をする雰囲気が徐々にできていきました。
 子どもを囲み、大人が子どもたちの健やかな育ちを支援していく循環のしくみが、少しずつ少しずつ地域に育まれてきていると思います。そんな子育てや地域活動を<ともに>頑張ってきた仲間が、徐々に子ども会活動や学校の役割が終わってきている状況があります。私もその一人です。
 その仲間たちの多くは、現在、地区の役員など地域の役割を引き受け始めました。消防団や体育委員、またレディース会(婦人会)や公民館活動など、子育てから始まった地域のつながりの延長で、地域の役割を引き受けています。
 
 ちなみに私は、「公民館だより」をつくる文化委員をしています。仕事や子育ての合間を縫ってささやかな役割しか担えないのに、「忙しい現役世代が関わってくれるだけで嬉しいよ。ありがとう!」と、地域の大先輩がいつも声を掛けてくださることにも支えられています。
 
 子育てをきっかけに、地域に助けられ、地域のためにできることを担う。いつの間にかそんな関係が生まれているとすれば、こんな嬉しいことはありません。
 私たち保護者は、学校や地域の役割を担うということにあまりにも負担感を持ちすぎて、この意義を経験できないでいるのかもしれません。

 「人は一人で生きていけない。いずれまた地域の世話にならなければならない。“できる人ができる時にできることをする。”それくらい気軽に地域に参加してもいいんじゃないですか。」
 私の尊敬するボランティアグループの代表者さんの言葉です。
 さあ、みなさんも子どもと一緒に地域や学校に出掛けませんか?
 きっと、素敵な出会いと学びが待っていますよ!!
 
 4回に渡り、つたない経験談を読んで頂いたみなさま、ありがとうございました!
 
 
 

親子の地域参加を支える子ども会活動!~つながりの暖かさを実感できる地域の場所~

平成23年12月1日

 みなさんの地域では、子ども会活動は現在、行なわれていますか?私の地域では、今のところ子どもの数が多く活発に活動をしていますが、最近、子どもが少なくなったり、参加者が少なくなったり、世話をする大人がいなくなったりなどの理由で、子ども会や育成会が活動休止に追い込まれているところが増えてきました。私にとっては、子どもの地域参加の場であるとともに、親にとってもかけがえのない場所でした。いつものごとく、私のエピソードから書いてみます!

 わが家が子ども会活動にデビューしたのは、長女が小学校に入る12年前。小学校を機に、今住んでいるところに移り住んできたため、幼稚園までの友だちは一人もいない、親子で不安な春を迎えていました。
そこに、2月頃だったでしょうか。小学校入学に先駆けて、わが家に「新入生の集まりの会をしますから、公民館に来て下さいね!」という、当時の子ども会育成会の役員さんからお電話をいただき、いそいそ親子で出かけました。そこでは、先輩ママと子ども会に参加している子どもたちが優しく迎えてくださり、公民館の一室でお茶とお菓子をいただきながら、子ども会活動の説明や小学校の登下校についてなど話してくださいました。
「子どもたちの登下校のとき、ここの車の行き来を注意してあげて下さいね。」
「この地区から学校までは、1キロ以上歩くので、低学年の頃は、朝7時20分ごろ家を出た方がいいですよ。」
「この道には、“抱っこばあさん”と言って小さい子に抱きついてくるおばあちゃんが出没するから注意してね。」
など、そこに住んでいるから、わが子を育てているからこそわかる、細やかなアドバイスをたくさんいただきました。子どもを始めて小学校に行かせる私にとって、見知らぬ土地に引っ越してくる私たち親子にとっては、「ここだったら、頼れる人がいる!相談できる場がある!」あたたかい、あたたかい地域のつながりを実感した瞬間でした。

 そんな娘の入学をきっかけに関わり始めた子ども会活動は、下の息子たちが6年生になる9年間にわたって親子で活動に取り組んできました。子どもが低学年の頃は、子どもの活動する公民館や神社のところに行き、活動を見ながら同年齢の子を持つ保護者の方とおしゃべりするのが楽しくてしかたありませんでした。今考えると、この「井戸端会議」こそ、生活圏の子育て情報や地域のつながりを手に入れる大切な時間・空間だったように思います。

 娘が4年生になると、子どもたちが会の中で少しずつ役割を担っていくのと同様に、私は保護者として班の連絡係を引き受けることになりました。それは、新入生やその家庭に子ども会活動についてや小学校生活についての話をしていくことであり、自分がされて嬉しかったことを、恩返しするつもりで一軒一軒の家庭に出向き話をしていきました。

 また、6年生の頃には、何と育成会会長のお役が回ってきて、一瞬躊躇しましたが、子どもたちや仲間の役員さんに支えられて、「子ども主体の活動の支援的役割」を何とか果たすことができました!
 こんな感じで、あれよ、あれよという間に、子どもとともに、子ども会育成会の一参加者から役員までを経験していましたが、私にとって「よかったなぁ」と思ったことが二つありました。

 まず、活動を通してたくさんの知り合いが増えたこと!
(今でも私の生活圏の関係性の基盤になっています。)
そして、親が役割を担うことによって、わが子が喜んでくれたこと!
・・・決して、面と向かって(僕たちのため役員やってくれて)「嬉しい」とか「ありがとう」とか言いませんが、「今日も来るっちゃろう?」「今日、楽しかったやん!」という言葉を聞く限り、家以外で親が地域のために頑張っている姿を見て、喜んでいるような、誇らしく思ってくれているように感じました。

 みなさんも、ぜひ子ども会活動に親子で参加されませんか?

 

「子どもとともに親も地域や学校に出掛けよう!」2

平成23年11月21日

2.子どもの安全・安心を守る地域の力!~おじさん・おばさんのあたたかな“まなざし”~

 子どもの育ちには、「家庭環境」や「学校環境」が重要だと言われます。でも、もう一つ重要な環境があります。それは、「地域環境」だと思います。

 みなさんは、子どもにとっての地域をどのように、受け取っているでしょうか。今回の講座では、「なぜ子どもの育ちに地域環境が不可欠なのか!?」を探っていくため、「子どもの安全」というテーマで考えていきたいと思います。

 小学生になると、当たり前ですが、子どもたちは歩いて登校しますよね。わが子の場合、学校が約1.8?くらい離れていたので、低学年の頃は片道40~50分の道のりを毎日歩いていました。登下校で4?近い距離を歩くようになり、身体が丈夫になったのでしょう。それまで季節の変わり目に必ずひいていた風邪をひかなくなりました!
 しかし、いいことばかりではありません。朝7:20に家を出て夕方5時過ぎに帰ってくるわが子に、「無事たどり着くだろうか?友だちに置いていかれていないかな・・・。道草をくって日が暮れるのではないかな。」など、ハラハラすることも多くありました。特に、心配だったのは不審者情報の連絡を受けた時です。仕事を早退して下校に付き添ったり、友だちの親に電話して様子を聞いたりしていました。親としてできるだけのことはしたいと思いましたが、たびたびそんなことがおこるので、「親だけで子どもの身の安全を守るのは限界だなぁ。どうしたらいいかな~。」と感じていました。

 そんなとき、子どもの登下校の様子を見に行ったり、子どもたちの話を聞いたりする中で、地域のいろいろな方が子どもたちの登下校を見守ってくださっていることが見えてきました。「黄色い旗を持って、交差点にたってくれる方」「自転車や車に『安全パトロール中』というカードを乗せて走ってくれる方」「青パトに乗って、車内から安全の呼びかけをしながら走ってくれる方」そして、早朝や夕方の子どもの登下校の時間に合わせてウォーキングしながら「見守り活動をしてくれる高齢者の方」もいらっしゃいました。

 このおじさん・おばさん(地域のいろいろな方々)の存在が、多くの親子に安全と安心を与えたことは、言うまでもありません。子どもたちが雨の日も雪の日も6年間に渡って、自分の足で毎日登校できたのは、地域のあたかかい“まなざし”があったからだと思います。
卒業式の日、卒業式の保護者代表の謝辞を述べることになった私は、学校の先生方への感謝はもちろん、地域の方々へ声を大にして感謝の気持ちを伝えました!

 みなさんの校区では、どうですか。きっとそれぞれの地域でやさしい“まなざし”を、子どもたちは受けているのではないかと思います。みなさんも、ときどき家族や子育て仲間と一緒に地域に繰り出し、子どもたちの生活圏である「地域環境」を振り返ってみませんか。地域の重要性がきっと実感できると思います!

 

「子どもとともに親も地域や学校に出掛けよう!」1

平成23年11月4日

1.子も親もピカピカの一年生!?~小学校のPTA役員を引き受けてよかった!~

 これから、4ヶ月、学童期の子育てについて担当させていただく相戸です。この講座では、私自らが3人の子ども(現在は中高生になりました!)の親で子育てに悪戦苦闘してきた一人の親として、また地域や学校に支えられながら子育てをしてきた一人として、お話をしたいと思います。
さて、今回は私の長女が小学校に入学した頃のお話です。私は3人の子どもが乳幼児の頃、3回引越しをしました。長女が小学校にあがった年に、ようやく今の家に落ち着いたのですが、小学校のこと、友だちのこと、地域のことなど、まったくわからない状態で娘の小学校生活が始まりました。そんな気持ちの入学式のとき、隣に座っていたお母さんから「一緒に役員やらない?」と言われたことをきっかけに、「ええ、じゃぁ。」ととりあえず引き受けることにしました。初めての子どもの小学校入学で、右も左もわからず不安でいっぱいでしたが、成人教育委員として、講演会や講座の企画などをしていくことになりました。

 委員会は、月1~2回集まり、読み聞かせ・ベルマーク・講座について企画実施していくものでした。私たちの学年は講座の担当になりました。「年々参加者が減っている」という前年度からの申し送りを聞き、担当になった6人のメンバーで、「たくさんの親が参加したくなる内容にしよう」「講演会もいいけど、小さな講座を4回に分けてしたらどうかな」「自分たちも楽しめる内容に」など、どうしたらたくさんの親に参加してもらえるかを中心に話し合っていきました。結果、4回実施した講座はどれも満員御礼となり、メンバー一同、達成感でいっぱいとなり大変喜んだ記憶があります。

 委員会活動でのこのようなプロセスは、二つの成果をもたらしてくれました。

 まず一つは、その委員会に足を運び続けたおかげで、小学校のこと、子どもの様子をよく知ることができたことです。委員会活動で学校に出入りするたびに、教室、校庭、体育館、職員室、美術室、図書室、理科室、保健室などの施設について、壁の掲示や校内放送などの学校での取り組みの様子、あいさつしてくれる子どもや遊んでいる子どもの姿に出会い、その様子を肌で感じることができました。入学当初抱いていた学校に対する不安はいつの間にか消えていました。

 また、もう一つは、委員会活動を通じてホンネを話せる仲間がたくさんできたことでした。委員会活動の話だけでなく、子どものこと、学校のこと、仕事のこと、いろいろな話をすることができました。
 委員会前後に学校そばのお店で500円ランチをしたのも、今ではいい思い出です。この仲間との関係のおかげで、子育ての悩みが解決したり、その後の小学校生活の中で、大いに支えになってくれたことが何度もありました。子どもが中高生になった今でも、近所のスーパーで会うたび「元気にしてる?子ども大きくなった?」などと立ち話がつきません。

 こんなわけで、今回第1回目は、子どもが小学生にあがったときが私のPTAデビューというお話しをさせてもらいました。子どもも小学校入学は、どきどきわくわくでありピカピカの一年生を過ごしますが、親にとっても子どもの小学校入学はピカピカの一年生ですよね。そんなときは、私がしたように、思い切ってPTA活動デビューなど役割を引き受けて見られませんか?いろいろなことがわかるし、たくさんの人に出会うことによって、かなりの子育ての悩みが解消され、きっと自分にとってよかったと実感することができますよ!!