平成27年9月19日
あなたのお子様は毎日、朝うんちが出ていますか?全国調査によると、毎日うんちが出る子どもは2歳児で47.3%、5歳児は39.1%という割合でした。朝出るという子どもは全体でも2割強くらいしかいません。どう思いますか?
毎日出ないから“便秘”とは言えません。週のうちに3~5日排便があり、子ども自身に腹痛や痛み、違和感がなければ特に問題はないとも言われています。しかし、毎日、朝から出るリズムは育てなければ育ちません。
保育の世界では「おしっことうんちは子どもが自分自身でできる、初めての親へのプレゼントである。」と言われています。おしっこ・うんちを汚いものとして避けるのではなく、出ることの大切さ、気持ちのよさをあなたの喜びとして子どもに伝えてください。そうすると「自分がうんちをするとお母さんが喜んでくれる。」ことがわかり、また立派なものを出してあげようと子どもも頑張るのです。毎日朝から出ることの喜びを共感していきましょう。そして、朝から少しだけ余裕をもって、朝出かける前に「ゆっくりいいんだよ。」と便所に座る時間を待ってあげてください。そうすると、毎日朝から出る子どもになりますよ。
「なぜ朝の排便なのか」
保護者の方には「排便は昼や夜じゃダメなの」、「1日に1回出ればいいんじゃないの?」と思われる方がおられるかもしれません。ここで大事なことは、朝の排便という結果も大事ですが、朝から排便があるという習慣化した規則正しい生活が大切だということなのです。
●なぜ毎日なのか
排便回数は生後1 週の新生児では,1 日平均4 回ありますが、2 歳までに1 日1~2 回に減少し,3~4 歳で排便回数は1 日1 回程度となります。年齢に伴い排便回数が減少するのは,腸管通過時間や大腸運動の変化に関連するものです。腸管通過時間の平均は,1~3 か月で8.5 時間,4~24 か月で16 時間,3~13 歳で26 時間と言われています。それで一日に1回排便する必要があります。
●便秘は悪い習慣です
幼児期の便は、離乳に伴い固形化してきます。排便習慣が未確立な乳幼児期では、毎日排便がないことにより過度の便塊貯留(便塞栓)が便意を鈍化させ、便は長時間大腸に停滞しさらに硬く・太くなります。硬い便や太い便を排出したときの痛みや不適切なトイレットトレーニングなどは、排便を我慢した結果の嫌な体験として記憶されます。すると小児は排便を苦痛なものとしてとらえてしまい、次第に排便を避けるようになります。(排便回避)このため、便秘の悪循環が生じてしまうことになります。
●自然と朝からでる習慣を育てる
それでは「規則的に排便があればそれでもいいのでは?」と思われるかもしれません。しかし、朝から排便がないと身体の中に便を抱えたままの不快な状態で活動するということになります。また、便意を催した時にいつでも自由に便所に行く事ができるならば問題はないかもしれませんが、日中の活動の時間にいつでもどこでもという訳にはいきません。特に学校などではできない子どもが増えています。そうすると排便の機を逃してしまい不規則になってしまいます。
毎日朝から排便するというのは生活の習慣です。習慣は育てなければ育ちませんので、3歳ぐらいまでに育ててあげたいものです。正常な排便は、姿勢やいきみ方、消化管生理機能や大脳機能、肛門括約筋機能、食事内容など、さまざまな要素が関連し遂行される活動です。排便の認識は下部結腸や直腸に便塊が貯留する刺激を、結腸神経系を介した高位中枢によってなされ、至適な場時間であれば、高位中枢が腸管と随意筋を統合的に制御し排便が行われます。(排便の脳腸相関)
人の腸は朝食をとることにより活発に運動を始めます。そこで適度な運動など規則正しい生活のなかで、朝食を摂る、ゆったりとした気持ちでトイレに入る時間を確保することにより、自ずと朝食後に排便することになります。
便秘になると将来の健康に大きなツケを残すことにもなりかねません。子どもの頃からの正しい排便習慣をもたらす規則正しい生活習慣がとても大切だということになります。
(参考資料*小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン:日本小児栄養消化器肝臓学会 日本小児消化管機能研究会編集)