松隈 孝則 先生

4)自分らしく生きよう、転ばない人生は無い

平成30年7月2日

 中学生の子どもたちは、自分の将来の目標に向かって、毎日少しずつ歩を進めています。夢に向かって進むことは、とても大切なことです。しかし、自分が描いたとおりに進まないこともあるかもしれません。保護者の思いとすれば、できれば転ばないほうがいいのでしょうが、転ぶこともあるのです。むしろ「転ばない人生は無い」といってもいいくらいです。

 転びの体験も人それぞれですし、転んだ体験から起こる怪我の程度もそれぞれでしょう。しかし、その怪我の体験は、決して無駄にはなりません。転んだ経験は、きっとどこかで役に立つことがあるからです。怪我をしなかった方にはわからない苦労をすることもありますし、復帰するまでには大変な努力が必要になることもあるでしょう。転んだ体験から、たくさんのことを学ぶことがあります。だから、無駄な転びなどないのです。

 また、桜梅桃李(おうばいとうり)ということわざがあります。桜、梅、桃、李(すもも)は、花の形や色、香りも異なって、それぞれにみごとな花が咲いているということ。つまり、「人もそれぞれに個性が違うのだから、それぞれに咲いていい」ということです。保護者の皆さんをはじめ、子どもの教育に携わる方々は、子どもたちが他人の真似をして同じように咲くことなど考えず、与えられた環境で自分なりの花を咲かせるようにしっかり導いていくことが大切だと思います。

 子どもたちは、将来のいろいろな可能性を秘めています。自分にとっては世界に1つしかない人生ですし、周りの人たちも世界に1つしかない人生の持ち主なのです。家庭教育を通して、子どもたちに「自分がされていやなことを他人にしない」「お互いの気持ちを大切にする」など、社会のルールやマナーをしっかり教えてあげることが大切なのです。   
 

 

3)タバコは破滅への入り口

平成30年6月9日

 思春期になると、子どもたちは、「ちょっとタバコをすってみようかな」「なんとなく大人になったような気分を味わってみようかな」と思うことがあるかもしれません。しかし、タバコに含まれるニコチンやタールは、依存性を示すことが学問的に証明されています。

 つまり、依存するようになると、タバコを止められなくなるのです。周りの喫煙者の方々をみると、健康に悪いということはわかっていても止められない方がたくさんいます。また危険ドラッグに手を染めるきっかけは、タバコをすう仲間からのすすめということもはっきりしています。

 日本では、二十歳になれば、タバコをすうことが法律で認められています。将来、タバコをすうのか、すわないのかは、子ども個人の判断になるでしょう。しかし、タバコの害は、自分自身への害だけでなく、他人へも副流煙の被害を及ぼします。その他にも、悪性腫瘍の原因、高齢の呼吸困難症状、他人への迷惑、おなかの中の赤ちゃんへの受動喫煙、など、文字通り、百害あって一利なしです。しかも、禁煙しようとしても、なかなか完遂できないのがタバコなのです。タバコの害については、小学校の「薬物乱用防止教育」で、発達段階に合わせて学習しています。子どもたちは、タバコが健康に良くないことを知っているのです。

 なのに、なぜタバコに手を出してしまうのでしょうか? 悪いことだと知りつつ、なぜタバコをすってしまうのか? その背景を理解する必要があるかもしれません。

 もしかしたら、仲間から外されないため嫌々すっている子ども、親の気を引きたくてタバコに手を出した子ども、新しい友達を求めてすった子ども、先生への反抗からすった子どもなどもいるかもしれません。背景はそれぞれだと思いますが、タバコが子どものSOSと捉えることもできます。そのSOSに気づくためにも、子どもと会話する時間を作り、タバコをすう背景に注意を払いながら、親子の関係を築いていくことが大切となってくるでしょう。

2)H(エッチ)するって、どういうこと?

 平成30年5月24日

 思春期を迎えた子どもたちが、身体の変化やこころの変化を経験することは、至極当然のことです。それに伴って、異性や性に興味をもったり、多くの性に関する情報に接したりすることも自然な成長の過程です。

 子どもの成長において、3年後、5年後、10年後には、父親や母親になっている状況も想像されます。特に、思春期の子どもたちには、「Hするってこと」がどのような意味をもち、また、その結果について責任がとれるか否かをよく考えさせないといけません。

 「Hすること」については、性感染症に関わる問題も想定できます。性感染症に罹患させたり、させられたりすることも考えられます。病気になった場合に放置すると、将来的に妊娠ができないような深刻な状況になることもあります。

 さらに、もっとたいせつなことは、妊娠する可能性があるということです。そのときに、望んで、妊娠や出産へ向けて歩んでいける状況であれば大変すばらしいことです。しかし、そうではない場合には、悲劇にもなり得るのです。

 以上のことを考えて、思春期の子どもたちには、自分の人生ではもちろん、相手の人生においても、共に責任がとれる状況においてしか「Hすること」は許されないということを教える必要があると思います。

 現代において、子どもたちにとって「Hする」という言葉は、普通に使われている語句です。しかし、その中身の大切さを、親としてではなく、人生の先輩として伝える機会をもってみてはいかがでしょうか。

 保護者の皆さんをはじめ、家庭教育支援に関わる皆さんにも、ぜひ一度考えてみていただきたいと思います。

 

1)自分をたいせつに、他の人をもっとたいせつに

平成30年4月13日

思春期は、誰もが経験することであり、たいせつな時期です。
ものごとを主観的にも他覚的にもみるという心の芽生えにより、新しい発見もありますが、一方悩むこともあります。
最近のこどもたちは、他人へ相談したりなやみを打ち明けたりするまえにインターネットを利用して、安易に結論を得ようとする傾向があります。
私が地元の6つの中学校3年生に講話している内容を、4つのテーマに分けてご紹介いたします。

1)自分をたいせつに、他の人をもっとたいせつに

自分とは何だろう 生命(いのち)とは何だろう
生きるとは 身体もこころも健康であること

身体の健康
 あたりまえのようですが、災難はいつ起こるかは全く予想出来ません。2017年7月5日の九州北部豪雨の被害は、まだ鮮明でしょう。
 さっきまで一緒に遊んでいた同級生が、帰り道でトラックにはねられ亡くなるという事故も起きています。
 私自身も、来年、この場で講話をしていることは、必ずしも約束できません。明日、いまこの場所にいるかどうかは、誰もが確約できないのです。したがって、毎日毎日を、緊張感をもって、行動することを伝えていくことが大切です。

こころの健康
 たとえば、道端あるいは道路沿いの田畑に、ごみが捨てられている、このような光景に出合う時、なにを感じるでしょうか。もし、この田畑が、おじいちゃんやおばあちゃんの田畑だったら・・・ごみを捨てるでしょうか?
 自分の家の玄関前に、たばこやごみが散乱していたら、とてもいやな気持になると思います。その気持ちがそのまま、自分の田畑に捨てられたごみを見つけたお百姓さんの気持ちなのです。
 自分がされたらいやなことを他人にしない、このことは、同性の友人・異性の友人を問わず、これから歩んでいく人生のなかで基本ではないでしょうか。 
        
 思春期の子どもたちは、心も体も急激に成長し、悩みも多くなってくる時期だと言えます。親に対して反抗的な態度を取ることも多いかもしれません。
 普段の家庭生活では、子どもの成長を信じ、親がいつも笑顔でいることが、子どもの安心につながります。そのうえで、家族を含めた他人への優しさや気配りの大切さを伝えていき、自分はもちろん他の人を大切にする心を育んでいってはいかがでしょうか。