平成18年11月15日
子どもは自分が体験したことを通して、いろんな力を身に付けて成長します。子どもが一人前の人間として自立するためには、学校で学ぶ教科学習の力とあわせて社会的な能力といわれる、例えば対人関係において対立や争いを抱えながらも、つとめて円満に協調して共同生活をおくる力などが必要です。また、自分自身について自信をもつこと、将来への希望や夢をもつことが大切です。あるいは、他人への思いやりや責任感や正義感といった好ましい価値観を身につけることも求められます。
このような子どもの成長に必要なことがらは、文字や映像や話を聞くことを通して学ぶことができる部分もあります。しかし、そのような間接体験では学べない、つまり直接体験をくぐらなければ身につかない力もたくさんあります。この学び方を体得と言います。俗に言う、「体で覚える」という場面と訓練です。
私は小学生約10人に1週間の合宿をさせて学校に通わせるというプログラム、すなわち通学合宿を長い年月にわたって見てきました。その結果、今の子どもたちは、年齢に見合った力が身についていないと考えています。今の親をはじめとして、子どもを取りまく大人たちは、どうやら、子どもはやったことのないことはできない、教えられていないことは分からないという、きわめて単純明快な原則をよく理解できていないのではないかと考えています。
では、どうすればいいのか?答えは簡単です。子どもにやったことないことをやらせて、教えていないことを教えてやればいいのです。厄介なのは、その実行です。答えは簡単なのですが、それを実行するのは簡単なことではないのです。