平成22年9月8日
数年前、子育てサークルで、生後2か月の赤ちゃんに出会ったことがありました。 にこにこ顔で、親指を吸うために盛んに手を口に持ってこようとしていました。おでこにぶつけたり、頬に触れたりしながら口に指を入れようとひたすらに頑張っていました。 2時間ほどの時間を、時々、まどろんだり笑ったりしながら腕を動かし続けていました。 口の近くまで親指がいくことあっても、その日は親指を吸うことはできませんでした。
次の会合が約1か月後にありました。生後3か月になった彼と再会してびっくりしたのは、親指をスムーズに口に持っていき、うれしそうに吸っている姿を見た時です。あのたどたどしく、ぎこちなかった動きが、約1か月会わなかっただけなのに見事にコントロールされていました。だれからも強制されることなしに、自らの吸いたいという本能に従い繰り返し行ったことの成果が実感されました。
彼の一所懸命な姿とそれを微笑みながら見守っている母親の優しい眼差しを見た時、幼児期の支援にかかわる者が、今の子どもの言動・姿をどうとらえるか、どう考えるかによって、その子の成長は大きく違ってくることを、三十有余年の教員生活の中で何度も何度も痛感したことを想い出します。
障害なのか、経験したことがないからなのか、現実にできない・しないことは同じでも、その原因のとらえ方や支援の仕方で子どもの成長は大きく変わってきます。子どもの見方、とらえ方、支援の在り方について、子どもたちに教えられたこと、子どもたちから学んだことから考えてみたいと思います。