思春期における「現代を生きる子どもたちへ〜自己肯定感を育むための理解と関わり方〜」①

令和3年4月20日

 皆様、はじめまして。今回から思春期編を担当させていただく山下です。

 日頃は、思春期のお子さんや保護者さんのお話を、学校やクリニックなどでお伺いしています。

 思春期のお子さんは体と心の発達に伴い、相談内容も異なってきます。

 小学生の頃は「〇〇が嫌だ」「△ができない」など、お子さん自身が「困った状況」を伝えてくることが多く、その困った状況を解決するための「対処法(コーピング)」をどうやって身につけていくかが大事なポイントになります。一方で、思春期のお子さんは、すでに「自分の対処法」を持っていることも多いです。

 例えば「宿題の締め切りに間に合わないから、最初からやらない」「やることが多すぎてイライラするから、物に当たった」などです。このような子どもたちの「対処法」は、保護者の皆様から見ると「ただ怠けているだけ」「反抗期だから仕方ない」と思われるかもしれません。

 しかし、子どもたちに「この対処法」を実行した気持ちを聞くと、「やっぱり私はダメだ」「やれない自分が悪い」と、自分を責めていることが多いです。

 また、現在、子どもたちが置かれている状況を知る一つとして、昨年9月から12月に国立成育医療研究センターが行った調査によると、高校生の約3人に一人が中等度以上のうつ症状を抱えていることが分かりました。特に、「就寝時間が遅くなった子どもの増加」「テレビやスマホ、ゲーム機の使用時間の増加」など、時間の使い方にも影響が出ているようです。

 次回から、子どもの自己肯定感を育むための「時間の使い方」について、私たち大人ができることを皆様と一緒に考えていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

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