平成31年4月26日
まず、保護者の皆さんに知っていただきたいことは、メディアが人に与える影響は、一般的に思われているよりずっと大きいということです。
マクルーハン(1964)は、「メディアはメッセージ」という言葉で、メディアが伝える情報よりも、メディアそのものが人に与える影響の方がはるかに大きいことを伝えました。メディア使用で起きる問題は、情報を適切に扱わないから起きるというより、メディアを使うこと自体にあると言い換えることもできます。そして、多くの人々は、メディアの影響を無自覚で従順に受け取ってしまい、メディアがなくてはならないものになってしまうといいます。まるで、いつでもスマホを使い続けて、手放せなくなった現在の人々を形容しているようです。
人は、自分のためになることをしたがるとは限りません。薬物に依存した人は、その薬物をほしがりますし、ギャンブルに依存した人はそのギャンブルをしたがります。それと同じで、スマホやSNSなどのアプリに依存した人は、それらをなくてはならないものと感じて使い続けます。スマホやSNSなどを使い続けることは、「薬物やギャンブルのように悪いものではない」と思われるかもしれません。しかし、多くの調査研究がそうではないことを示しています。
子をもつ大人にとって必要なことは、まず、メディア使用が人に与える影響の大きさを正しく理解すること、そして、子どもの発達に合わせて、身につけるべきメディアに対する考え方と態度について考え続けることです。
それでは、次回から3回にわたって、具体的にお話ししていきます。
参考:M.マクルーハン:『メディア論―人間の拡張の諸相』,栗原裕・河本仲聖訳,みすず書房,1987 (McLuhan, M.: “Understanding Media: The Extensions of Man”, Mcgraw-Hill, 1964)