~親と子の円滑なコミュニケーション~親子のコミュニケーション(その4)「毅然たる態度」

平成20年2月2日

 書店に行くと子育て、特に親子関係についての本はたくさんあります。どの本を選ぼうかと迷ってしまいます。著者たちは自分の意見をそれぞれに述べていますので、本によっては正反対の意見が述べられている場合もあります。本を読む側の私たちは「これはA氏の意見の本なのだな」と意識しながら読むことが大切です。

 著者は自分の意見の正当性や妥当性を主張しますので、持論は勿論ですが、その根拠としている参考文献や資料も持論に都合の良いものを選んでいます。読んでいるうちに、その本は正しいことを述べているような気になってしまいます。ましてや論者が有名大学の教授とか、テレビで名前が売れている人となれば、それだけでその意見を正しいものとしてしまうことはよくあることです。
 人の意見を聴いたり読んだりすることはとても大切なことですが、本や新聞、テレビで展開されているのは1人の著者、評論家、専門家、記者の意見に過ぎないということを私たちはいつも意識し、ひとつの参考意見とすることに止めておくことです。大切なのはそれを知った上で、自分の意見はどうなのかを考えるということだと思います。そのプロセスが無いと“鵜呑み”状態になり、人の意見の“受け売り”になってしまいます。
 親が子に「世の中とは」「社会とは」という時には、自分の意見というよりは、“受け売り”的な意見を言う場合です。子どもは、そういう意見を聴きたがっているのではありません。親自身はどう思うか、どう考えるかを求めています。
 それは、子ども本人にとって耳触りの良いものではないかも知れませんが、子どもに媚びることなく、迎合することなく、親として自分の目指したい生き方を、伝えていければと思います。

 では具体的にどうすれば良いのか?例えば、お子さんのクラスで“虐め”があったという話を聴いたときの私たち親の態度です。「虐める側にもストレスがあるんじゃないか?」とか、「虐められる方も悪いじゃない?」など評論家的な言葉よりも、「“虐め”は好かん!」「どんな理由があるか知らないが、“虐め”は絶対ダメ!」ということをはっきり伝えた方が、親の姿勢がはっきりと伝わります。子どもはそういう親の毅然たる態度を求めているのではないでしょうか。理屈より態度(実践)です。そのことで、子どもは自分の考える軸を持つことが出来、親への信頼が育っていくのではないでしょうか。

教育文化研究所 

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