平成19年10月30日
思春期は大人への脱皮の時期。この時こそ親の真価が問われます。親としてどのようなコミュニケーションが必要かを、具体的な事例を通して考えてみたいと思います。今回は中学2年生のA子ちゃんとそのお母さんのBさんの事例です。
A子ちゃんが「お母さんお願いがあるの。」と話しかけてきました。「何なの?」と尋ねると、A子ちゃんは「化粧品を買ってほしいんだけど」と切り出しました。やっぱり!Bさんは「いくらなの?」ときくと、A子ちゃんは「5千円」と答えました。
Bさん自身は安い化粧品で我慢しています。子どもにはそんな高い化粧品は必要ないと思いました。すぐにダメと言っても言うことをきかないだろうから「考えとく」と言って、買い気にはやる気持ちを冷ますことにしました。
すると、A子ちゃんが急に怒り出したのです。「もう、いい!お母さんはいつもそうなんだから。」と言い放ち、ドアをバタンと締めて自分の部屋に行ってしまいました。Bさんもその態度に腹が立ちました。
少しして冷静になったBさんはA子ちゃんに尋ねてみました。「あの時どうして怒ったの?」と。するとA子ちゃんは「お母さんは、いつも『いくらなの?』とだけしか言わないじゃない。どうしてって『なぜ?』ってきいてくれないの?お母さんは私のことよりお金のことが心配なんだ、そう思って寂しくなって・・・。」と本心を話してくれました。
Bさんは家計を預かっている立場からついつい高いか安いかを先に考えるようになっていた自分に気が付いたそうです。日常の忙しさの中で、“本当に大切なもの”を忘れて、親子のコミュニケーションが表面的になってしまった典型です。
A子ちゃんが化粧品を欲しいと言ったのは、ある店でもらった化粧品のサンプルを顔につけたらニキビが治ったからです。そういうことが分かったならBさんも、「他にもニキビに効くのがあるかも知れないから、お母さんも探してみるね。」という会話の展開も考えられたかも知れません。“本当に大切なもの”は何?時々、意識してみたいですね。