令和2年12月14日
今年は家にいる時間が長かったと思うのですが、お子さんは長い休校中どのようにお過ごしでしたか?ゲーム・スマホの時間が長くなり、そのために生活リズムがくるって心配されたかたもいらっしゃるのではないでしょうか?そしてまた、冬休みがやってきます。取り急ぎ、その過ごし方についてご提案です。
お子さんがゲームやスマホばかりで困る、何とか取り上げるか、使う時間を減らしたい…とお考えでしょうか?目に悪い?そうです、スクリーンタイム(電子映像メディアに触れる時間)が長いと、実は脳・目・耳・首・手・腰・足に影響が出ます。しかし、魅力的なゲーム・スマホですから急に手放せとか時間を減らせなんて、言う親も言われる子もしんどいです。そこで「ゲーム・スマホの時間を減らす」ではなく「ゲーム・スマホ以外のことに使う時間を増やす」という発想の転換をおススメします。普段の家事やガーデニング、ペットの世話や、お菓子作り、手芸、DIY、散歩…。誘いに乗ってこなくても家族がそれに夢中になっている気配があるだけでも良いのです。今年の長期休校中の知人の例では、千ピースのジグソーパズルに家族で挑戦した、草取りをお願いしたら大人がするよりきれいになった、極めつけは、釣り好きのお父さんが、お子さんを誘ったらすっかりはまってしまった…思い通りにならない自然相手に、獲物はゲットできるかどうか分からない、釣り上げるまで正体も分からない、この楽しさに目覚めたらしいのです。ホンモノを知った彼は心配するほど夢中だったゲームにはもう向きもしないのだとか…親子で同じものに夢中になれるなんてますます楽しいですね。
そしてもう一つご提案です。お子さんがぼんやりしている時はぜひ、そのままにしてあげてほしいのです。なぜなら、そのとき脳はデフォルトモードネットワーク(前頭前野の内側や後部帯状回など)を働かせ、それまでに取り込まれた情報の整理をしているからです。むしろ、ぼんやりしているときのほうが、仕事や勉強しているときよりも15倍以上ものエネルギーを消費しているという研究もあるそうです。本来、ぼんやりするはずのときにゲームやSNSをすると、脳へのインプットが増えすぎるとともに、情報を整理する時間が奪われてしまい、その結果、新しい作業ができなくなるのではないかと考えられています。オーバーフロー脳と呼ぶ人もいます。大人ですらそうですから、子どもの場合には成長への影響もあり特に心配です。
この、2点をやってみていただきたいのです。発想の転換で親子の思い出作りにもつながると思います。どうぞ楽しい思い出深い冬休みをお過ごしください。
参考文献 山中憶良・倉石宗徳(2019)スマホを持たせるのは遅いほうがよい ―リアルで遊ぶ、心が通う。家庭でできるデジタル障害予防法―. 一般社団法人スポーツアカデミー.