平成19年10月30日
子どもたちをめぐる悲しい事件が後を絶ちません。今、子育て真っ最中の親たちにとっては、心配事がつきません。かく言う、私も子育て真っ最中であります。
子どもの寝顔を見て、「いい人生をおくってほしい。」そう願う毎日です。「子育てが、たのしい」と思える社会になるよう、このシリーズでは、「今、子どもたちのために大人が始める事」について書いていきます。
冒頭のタイトルは、家庭訪問の時に、「お子さんに望むことは」という私の問いに保護者が答えられる最も多い言葉です。
「先生、そりゃあ、勉強もできてほしいけど、人の心の痛みのわかる、やさしい子どもになって欲しい。」と言われます。人間は、人の間で育つのですから、とても大切なことです。
では、どうしたら、人の心の痛みがわかる子に育っていくのでしょう。
まず、想像力です。私は舞台にいす一つで一人芝居をやっていますが、何もないのに、子どもたちは、私の語りや表情で、その登場人物の心情を、その場面の情景を、想像するのです。「主人公はつらかっただろうなあ。」と涙を流してくれる子どもたちもいます。
人間にはこの想像力があるのです。他人の痛みがわかる力です。
読書、読み聞かせも、いいですね。活字や、語りから、いろいろな場面を想像する、秋の夜長、子どもたちと親子読書いかがですか。
外遊びも大切です。仲間と遊ぶ中で、けんかしたり、仲直りしたり、遊びを生み出したり、「秋の空は高いんだなあ、葉っぱが色づくんだなあ。」そういうことを、夕日を背にして思うのです。この外遊びの復活を切に望みます。テレビ・ゲームだけに時間を費やすようになったら、子ども時代もったいないですよね。
次に、自己肯定感を育みたいですね。「いろいろあるけど、自分はやっぱり好き。」と自分を受け入れている子は、他人の痛みに気づきます。「元気ないけど、どうかした。」と仲間に寄り添ってくれます。
自己肯定感は、「お母さんは、あなたを産んで幸せ。」「あなたは、暗いのじゃなくて物静かって言うのよ。」「あなたは、私たちの宝物よ。」こういう言葉かけから育ってきます。
命がけで産んだ自分の命の分身に、そう語って下さい。こんなこと言われたら、涙が出るくらいうれしいです。自分を肯定的にとらえます。
最後に、私たち大人自身が、人の心の痛みをわかる感性を育てていきたいですね。
子どもは、大人の言うとおりには育ちません、大人のするように育つのですから。