子どもは自由にネットを使っちゃだめ?どんなルールなら大丈夫?

平成25年12月13日

4年生になると環境について調べる宿題が出て、ネットで調べてもいいんだけど、「図書館に行って本で調べなさい。」ってうちのお母さんはパソコンを使わせてくれない。友達はママがすぐスマホをかしてくれるのに・・・。
図書館のパソコンは、子どもも使えるから検索してみたら、宿題のことを調べたいのに変なのが出てきて怖かったこともあるし、きりがなくって延々見ちゃうこともあるよ。
お母さんは、「パソコンもスマホも勝手に一人で使っちゃだめ。」っていう。でも、おじいちゃんちに行けばパソコンもスマホも、ネットゲームもやりたいだけやらしてくれる。パソコンは1年生から学校で習うし、3年生で検索の仕方も勉強したよ。僕でも使い方は大体わかる。友達のうちに行けば、家のパソコンを自由に使える所がほとんどだし、塾の先生の大学生も頼めばすぐスマホ貸してくれる。
テレビはよく見るよ。朝起きたら時間がわかるようにテレビがついてる。僕が見たい番組は大体見られる。お父さんは帰りが遅いし、お母さんは見たい番組は全部録画してる。テレビは一日中ついてるんだけど、家族で同じテレビ番組見るってことは少ないね。YouTubeなら古い番組でも見たいときにいつでも見られるし。
友達とはテレビの話かゲームの話がほとんどかな。


50年前、テレビや電話はまだ一般家庭には普及していませんでした。私が子どもの頃、我が家には白黒テレビはありましたが、電話はありませんでした。高価な新しい家電製品が、右肩上がりの時代の波にのり、どんどん家庭に普及していきました。
かつては社長さんしか持っていなかった携帯電話を誰もが持ち、車と同じ値段だったパソコンがみるみる安価になり、インターネットの普及とともに、一般家庭に普及しました。今やパソコンよりもパワーのあるスマートフォンを子どもたちが持っています。ゲーム機は一家に数台以上、これもネットに接続できます。
今の子どもたちは、30年前とはまったく違うメディア(ネットやゲーム機などの電子メディア)環境で育っています。子どもたちのゲーム初接触年齢は年々下がって来ており、今の小学校5、6年生では3−4歳ぐらいから始めた子がほとんどです。子どもの通信教育の教材は、ビデオやCDに変わり、ゲーム機やタブレット、パソコンでネット接続しての指導が主流になってきています。赤ちゃんは、スマートフォンやタブレットをガラガラの代わり、絵本の代わりにあたえられており(※ベビーアプリを利用)、今後の心身の発達について大変危惧されています。
世界中の誰もが、24時間自由に情報発信できるインターネットの世界。果たして親の目の届かない所で、子どもたちが自由に振る舞っても安全な場所でしょうか?実際の五感で楽しむおもちゃが、ゲーム機やネットなど実体のない仮想のものに入れ替わっていきます。子どもたちの遊びがメディアに奪われています。
日本の子どもの電子映像メディア接触時間は世界でダントツ1位。世界一早い段階から接触しています。(IEAの国際調査【2003、2007】)子どもが夜更かしで睡眠時間が少ないのも特徴的です。
そして日本は、世界一「自分は孤独だ」と感じる子どもの割合の多い国です。(ユニセフ調査2007)子どもの自殺も少なくありません。
人間の子どもは(特に幼いうちは)、生身の人とのやり取りや、実際に自分の身体を使った感覚からのみ経験を積み、世界観を構築すると言われています。脳の働きや育ちについての最新の知見からは、多くのことがわかってきています。
小児科医会は、新たな提言を準備中だそうです。


前回の宿題です。
「テレビ・ビデオ・ケータイ・ネット 一日何時間までOK?」

一つの参考として、ご紹介します。
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「子どもとメディア」の問題に対する提言
1.2歳までのテレビ・ビデオ視聴は控えましょう。
2.授乳中、食事中のテレビ・ビデオの視聴は止めましょう。
3.すべてのメディアへ接触する総時間を制限することが重要です。
1日2時間までを目安と考えます。テレビゲームは1日30分までを目安と考えます。
4.子ども部屋には、テレビ、ビデオ、パーソナルコンピューターを置かないようにしましょう。
5.保護者と子どもでメディアを上手に利用するルールを作りましょう。

社団法人 日本小児科医会 「子どもとメディア」対策委員会

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ご飯のときに、テレビを消してみたら、どんな変化がありましたか?
香りや食感、味覚などあらゆる五感と会話がすぐにもどってきませんでしたか?
子どものことは、子どもに聞くのが一番です。お子さんに、テレビやゲーム、ケータイの話を聞いてみてましたか?
どんな話をしてくれましたか?驚くほどいろんな話が出てきませんでしたか?
大人は、ちょっとびっくりするような話題でも、さえぎらず、指導せず、我慢して、子どもの話を最後まで聞くようにします。
子どもの発言より、大人の発言が多いなら、子どもの話を聞いていることにはなりません。
まずは、親子で総メディア接触時間の「実際に守れるルール」を作ってみましょう。
お子さんの生活を振返り、現状を正確に把握します。何に、どのぐらい、いつ、どんな状態(状況、場所、時間帯、他)で接触しているでしょうか。
厳しすぎる守れないルールでは意味がありません。今より少しだけがんばれば達成できる様なルールにします。
ルールは子ども自身が作ります。自分の時間、自分の生活、自分の未来だからです。
ルールを決めるとき、大人は根気よく話を聞き、その上で大人として、親としての意見や感想は述べても構いません。
「あなたのことが大切なので、親として私はこう思う」ということを伝えてください。
他にもこんなことを決めておいた方がいい、ということも出てくるかもしれません。例えば、夜10時以降は使わない、ゲーム機を家の外へ持っていかない、など。どんなものがルールに入っているといいでしょうか?
親子で考えてみてください。


子どもたちが求めているのは、人とのつながり。実際に目の前にいる人との生の関わりです。
とにかく親子の対話が、子どもたちを見守り、健やかに育みます。
ネットを介さない生身の親子の対話と、できれば共有の体験をたくさん持つこと。
お子さんが手元にいる、今がチャンスです。


次回、子どもとメディアおすすめのルールをいくつかご紹介します。

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