ふくおか子育てパーク

« 第4話 兄ちゃんも大変なんです | メイン | 我が家にぐりとぐらがやって来た!〜 第1回「双子誕生、親誕生」 〜 »

第5話 たくさんの仲間たち

2008年10月31日

 「Nっ子クラブ カンガルーの親子」を立ち上げてちょうど1年になりました。
 この会は1500g未満で産まれた赤ちゃんのための親子の会です。1回目の会に集まったのが9組。気がつけばこれまで約40人のお母さんたちと出会いました。毎月1回、筑紫保健福祉環境事務所で賑やかにおしゃべりをしたり、勉強会を行ったりしています。

 会の目的は「まずお母さんが元気になること」なによりもお母さんの元気が子供たちの成長にとって一番。そして、その元気を他のお母さんに伝えたい、元気の連鎖を広げたいというもの。ちょっとかっこよく言うとピアカウンセリングを目的にしています。つまり、同じ立場の者がお互いのことを話すことで不安を少しでも解消し、前に進んでいきたい。

 でも、正直いうと迷いがありました。トラブルを抱えた出産・育児というデリケートな問題にどこまで対応できるのかと・・・

 でもその迷いは1回目の会が終わった後、なくなりました。
 初めて集った9人のお母さん。お互いの出産体験を話しました。双子の一人を亡くした人。乗っていたタクシーの事故が原因で陣痛が始まった人。体外受精でようやく授かり、早産した人。出産したばかりのNICUに面会に通うお母さん、NICUを退院し家庭での不安な育児の毎日のお母さん、高校生のお母さんまで・・・。みんな、涙を流しながら自分のことを話していました。

 多くのお母さんは、早産の原因は自分のせいだと責めています。そして、他の人にはなかなか分かってもらえない気持ちを押し殺しながら過ごしています。なかにはひどい産後ウツに悩まされる人もいます。実際に、何ヶ月もNICUに通うことができなくなったという経験をした人もいます。子供たちの後遺症・障害を宣告されてしまう人もいます。

 小さな小さな命を目の前にして、不安とどうすることもできないことへの苛立ち。退院後も病気や発達の遅れなど不安材料はいくつもあります。
 多分、それまで心の奥底にしまいこんでいたものが、どっと溢れてきたのだと思います。
 後日、NICUの看護師長さんから、参加したお母さんの顔が変わったと伺いました。

 たいていの人は、こんなに仲間がいることに驚きます。こんなに400gや500gといった1000gもなく産まれた赤ちゃんが集まるという所は少ないと思います。会に参加してから泣かなくなった、迷わずもっと早く参加すればよかったという人も・・・。参加する回数が増えるたびにお母さんたちの表情が変わっていくのが分かります。

 産まれた病院もいろいろ、福岡都市圏、久留米、筑豊、北九州、佐賀からも仲間が集まってきます。(遠方の方でホームページ上の掲示板で仲間と交流している方もいます)

 とにかくワイワイ、ガヤガヤと賑やかな毎月の定例会。これからも、みんなが会で得た情報や元気を、育児につなげていければいいなと思っています。
 かくいう私もたくさんの元気をもらって家に帰ります。
 私だって不安の塊。この子はいったい歩くことができるようになるのだろうか、目はどのぐらい見えるようになるのだろうか・・・そんな不安に押しつぶされそうな毎日です。
 でも、ここで出会ったたくさんのお母さん、そして講師やボランティアで来てくださった方々との出会いが前へ前へと進ませてくれています。

 「育児は育自」とよく言いますが、いろんなことを子供たちから教えてもらっているなぁと実感の毎日です。

 書き出したら止まらない私・・・。コラムというには、毎回、長い文章になってしまい反省です。でも、私の育児はほんの一例。病院にはいろんな子供たちが入院しています。その数だけ、いろんな悩みや不安を抱えながらの育児をしている人がいることを知ってもらえたらと思うのです。
 そして、もし周りにこんな悩みを持った人がいたら、そっと私たちみたいな仲間の存在を教えて欲しいなと思うのです。
 こんな私たちの今後が気になる方は是非、ブログへ遊びにきてください。お待ちしています。お付き合いくださいまして、ありがとうございました。

Nっ子クラブ カンガルーの親子 登山 万佐子)

投稿者 Kosodate : 2008年10月31日 17:25

コメント

コメントしてください




保存しますか?


Copyright© 2005 Fukuoka Prefecture. All Right Reserved.