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10月のコラムを担当することになった登山です。よろしくお願いします。
ただ今、専業主婦2年生。そして、「Nっ子クラブ カンガルーの親子」代表というのが今の私の肩書きです。「Nっ子クラブ カンガルーの親子」とは、小さく産まれた赤ちゃんのための親子の会のこと。この会については、また後日ということにして・・・。
我が家は、同じ年の主人と小学1年生の長男、そして来月11月で2歳になる長女の4人家族です。
実は、娘が生まれるまでは、バリバリ(?)のワーキングマザーだった私。ですから、長女が誕生したら長男の時と同じように1年間の育児休暇を取り、そのあとは時間短縮勤務でしばらくのんびり働こうなんて考えていました。ところが、ところが・・・・人生って予測もつかないことが、ある日突然、起こるものなのです。
それは2006年11月15日のこと。その日も普段どおり仕事を終え、夜7時過ぎ長男と自宅に戻りました。午後8時過ぎ、「ママ〜」とトイレから呼ぶ長男の声に立ち上がった瞬間、「パーン」。まるで水風船が割れたような音がしたのです。一面、血の海。あいにく主人はまだ帰ってきていません。電話をかけても出ず、かかりつけの産婦人科に連絡すると「出血なら入院の可能性も。準備してきて」と言われました。そう言われても入院の準備なんてできるような状況ではありません。とにかく身ひとつで行くことに。主人もやっと飛んで帰ってきて、親子三人自家用車でかかりつけの産婦人科に向かいました。気丈に「ママ、僕の肩につかまって歩いて」と言っていた長男も、私が病院に着くなり車椅子に乗せられると、その瞬間、ただ事ではないと感じたのか、ものすごい勢いで泣き出したのです。その声を今でもはっきり覚えています。
診察台でいつものようにお腹のエコーをとった医師の顔色が一瞬にして変わりました。いつも聞こえるはずの心音が聞こえないことは私にも分かりました。
医師は説明よりも先に、救急車の手配と九大への受け入れ要請を看護師に指示しているのです。そして「とにかく覚悟をしておいてください」のひとことを残し、診察室の外へ出て行ってしまいました。廊下で泣きじゃくる長男と一緒にいる主人に説明をしているようでした。私に分かることは異常事態だということ。ほどなく救急車のサイレンの音が聞こえ、私は九大に転送されました。主人と長男は後ろから自家用車で追いかけてくることになりました。
意識ははっきりしていたものの、こういう時はみなさんも目をつぶっているものなのでしょうか。揺れる救急車の中で、私はずっと目をつぶり、手はお腹を抱えるようにしていました。そのせいか、後でカルテを見ると、症状の欄に「腹痛激痛」というようなことが書かれていました。でも実際には、私は痛みを感じていなかったのですが・・・。
九大の医師も診察のあと「とにかく危険です。すぐに出します」と帝王切開の準備が始まりました。主人はまだ病院に到着していません。通常、手術前に行われる説明、承諾書のサインをもらう時間もないという先生方の緊張感はものすごいものがありました。そして、また「覚悟だけはしておいてください」と。ここでも私には一体何が起きているのかわかりませんでした。私は点滴をされ、術衣に着替えさせられ・・・されるがまま。そして全身麻酔のマスクを口に当てられ「息を吸って〜」・・・。
おぼろげながら意識が戻ったのは、いったい何時頃だったのでしょうか。ベッドの傍らで、主人の「女の子だよ」という声を聞いたような気もします。でも、それが本当の声だったのか、夢だったのかはっきりしないまま、また意識が遠のいていったのです。
私の知らない長女の誕生の瞬間。それは・・・
2006年11月15日午後10時51分誕生。
在胎週数23週1日(妊娠6ヶ月) 出生時体重 452g 身長26.8cm
超早産児、超低出生体重児、アプガースコア1/3 新生児仮死
予定日は翌年の3月中旬でした。想像することすらなかった早産。予定日より4ヶ月近く早く、主人の手のひらにのるほどの小さな小さな赤ちゃんが生まれてきてしまったのです。
原因は常位胎盤早期剥離。私の場合、胎盤が4割近く剥がれていたそうです。
自宅での出血から約3時間での誕生。
もし主人がすぐに帰ってきてくれなかったら。もしすぐに大学病院に受け入れてもらえなかったら。もしも、もしも・・・。何かひとつでもタイミングがずれていたら、きっと長女はこの世に誕生することはなかったでしょう。それどころか、私自身も命を落としていたのかもしれないのです。
2006年11月15日は、思い描いていたこれからの人生を大きく変えた一日となり、これからの人生にとても大きな意味を持つ一日になったのです。
(Nっ子クラブ カンガルーの親子 登山 万佐子)
投稿者 Kosodate : 2008年10月01日 17:10
登山さん、こんにちは。
私は今、妊娠6ヶ月、やんちゃ坊主もちのワーキングマザーです。
何事もなかった日常が、急に変わることがあるなんて…そういうことがあるとは頭の中でわかっていても。。。
今月は登山さんのお話でお勉強させていただきます。
投稿者 はる : 2008年10月03日 12:20
はるさん、コメントありがとうございます。
やんちゃ坊主持ちのワーキングマザー、まさに娘を産んだときの私ですね。ほんとに気をつけてくださいね。私もまさかね・・・って感じで。一人目の妊娠と違って、どんなに体調が悪くても上の子がいるという状況は、やはり働きながらでは辛いものがあります。その上、私は間があきすぎ・・・つまり自分自身がその分、年を取っていることを忘れてました。
次回のもコラムお楽しみに。(期待にこたえられるかな〜不安です)
投稿者 登山 : 2008年10月03日 15:46
はじめまして。
私にも二人子どもがいるので、緊迫した出産シーンの所をドキドキしながら読ませていただきました。出産はどんな時でも大変なものだと思いますが、登山さんにとってはそれこそ「まさか」だったのでしょうね。
投稿者 つぅ : 2008年10月29日 15:30
つぅさん
コメントありがとうございます。人生、何が起きるか分からないですね。それと出産って命懸けのものだと再認識させられました。
投稿者 登山 : 2008年11月01日 14:04