« ■20代の女性から説教を受け、10年前の記憶を思い出すの巻■ | メイン | 「私ママへ。そして母へ」 »
家族で長崎くんちを見物に行った時、車に忘れ物をしたので、会場から駐車場まで取りに戻ることにした。開演まで間がある。長男を連れて行くことにした。会場の公会堂前から駐車場がある賑橋まで路面電車で一駅だ。抱っこして歩くよりも電車に乗ったが楽だ。
長男を抱っこして電車に乗った。
「ぶー」
座席は満員だったので、長男を抱いたまま、車内のつり革につかまって立つ。長男は上に並ぶ、つり革が揺れるのが楽しいのか、指差して何度も「ぶー」と声を出している。
発車してまもなく、目の前の中年男性が席を詰めて隙間を作った。
「(お子さんを)座らせんね」
隣の年配の女性と、そのまた隣の、中学生くらいの彼女が、できた隙間に長男を座らせようと、笑顔で手招きする。未知の人々に歓迎されて、少しとまどう長男。
僕が隙間に座らせると、指をくわえて、ちょこりんと座ったまま、右手は僕の手を握って離さない。
隣から笑いかける年配の女性に、どう間合いをとっていいのか、困惑しているようだった。
すると、今後は、一つ隣の席にいた推定年齢70歳を越えている男性が、「いっしょに座らんね。詰めたら並んで座れる」と、声をかけて席を立つ。
「すぐ降りますから。いいですよ」
「よかけん。いっしょに座らんね」
70歳(推定)の高齢者に席を譲られたのは人生で初めてだ。長男の隣に一人分が座れる空間が座席にできた。中年の女性は、長男に笑顔で「よかったね。お父さんと並んで座って、よかったね。ぼく」と語りかけている。オトウサン。それは僕のことか。僕はオトウサンなのだ。
電車は、賑橋に到着した。しかし、せっかく譲ってもらったばかりなのに、いきなり席を立つわけにもゆかない気がして、そのまま西浜の町まで、一駅を乗り越すことにした。
一駅乗り越して、席を立つ。好意に満ちた長崎の人たちに、お礼を言わなくては。
長男に「バイバーィは?」と声をかけると、期待にこたえ、とても甲高い声で、「バイバーィ」と発声して手を振った。
長男の「バイ、バーィ!」の声に、電車のお見合い座席の両側に座った人々が、みんな微笑んでいる。人々の笑顔の中を、長男を抱っこして歩く僕の心境は、花道を行く役者のような幸福感だった。
(おっとん16)
投稿者 Kosodate : 2006年11月30日 12:34
1ヶ月間。あっという間に過ぎてしまいました。ここに書くことが、楽しみのようになっていました。あれこれ、書きたいと思っていたのに、あすから12月。電車の花道を歩いながら、次の方にバトンを譲ります。
投稿者 おっとん16 : 2006年11月30日 19:01
一月楽しく読ませていただきました。子育てを振り返ると、愛情ベースに、優しさとトキドキのしつけのバランスが大事だと思うのですが、簡単そうでなかなかですね。でもこの電車の中の人々のように、みんな子どもにやさしい視線を向けていますよね。子どもを巡る悲しい出来事が一つでも減る世の中を期待しています。
投稿者 りんご : 2006年12月04日 10:51
りんごさん>生まれたときから絵日記をつけているのですが(気が向いたときだけ)。1年前は一歳で、まだ移動は、ハイハイでした。「このごろ、ハイハイが次第に高速化してきた」と書いていました。最近は立って走っています。歳月が過ぎるのが早いなあと思うこのごろです。成長する過程で、まだいろいろなことがあるのでしょうね。悲しいできごとが多く報道される世の中ですが、このコーナーのように、日々の成長を語る場所も、ネット上に多くできているようです。世の中のやさしさに触れることも最近かんじています。世の中のやさしさをもたらしているのは、平和な社会と、足りている衣食ということでしょうか。現代日本に生きている幸せと、この平安を手にしていない人々へ、何かできることがないか。今後は、そんな思いを感じながら生きて行けたらと思います。
投稿者 おっとん16 : 2006年12月04日 20:15
子育てしてると色々と想定外の事があり喜怒哀楽が発生しますよね‥私も4人の娘(8才6才3才1才)がいるので気持ちが充分伝わってきます!そして奥さんが羨ましいです(^^)我が家の父親は子育て家事一切手伝わず出かけるのも子供達と私と婆とひい婆の7人!女系家族御一行様となります いつも夫が手伝ってくれたらと思っている現状です おっとんさん3才までが親としてとても幸せを感じますよ今の時間を大切にしてください
投稿者 大塚美里 : 2006年12月13日 14:30
大塚さん>ありがとうございます。3歳まであと11ヶ月です。8,6,3,1歳となると、かなりにぎやかでしょうね!
投稿者 おっとん16 : 2006年12月21日 13:26